周囲を黒水の海に取り囲まれた三角錐形の世界が舞台のファンタジーノベル。クリア後にはおまけシナリオも用意されている。黒水の海が絶えず浸食を繰り返してくる世界に主人公は招かれる
「リズベルルの魔」は、プレイ時間が5時間程度の一本道ファンタジーノベル。三角錐の世界に召喚された地球人の男性と周囲の人間との物語が、豊富なグラフィックや劇中ムービーとともに描かれる。クリア後におまけの物語が用意されているほか、作者・ときてっとさんによる別作品「永遠のメルディラージェ」のクリアでプレイできるようになる連動特典もある。
物語の舞台は「エンダージェン」という名の一国からなる世界にある街「シェラダン」。この世界は地球のように球形ではなく、三角錐の形状をしている。さらに、周囲に宇宙はなく、代わりに黒水の海で覆われている。人々は結界によって黒水の侵食から守られた街に住み、海の浸食で発生する亀裂を、巨大な弦奏鎧(ガストルフ)を操って断つ(塞ぐ)ことで、暮らしを維持していた。黒水の海はただの水などではなく、触れているとあらゆる物質が滅びてしまう別次元の存在。国と海は常に存在を競い合っていた。
主人公の青年は、盲目の少女によってこの世界に召喚され、少女のデュオン(魔)として弦奏鎧「ヴィルフォーナ」に乗り込んで剣を振るい、少女を守る決意をする……。
契約を結んだ相手は、瞳の中に巨大人型兵器を封印した、かわいらしい少女
主人公の「ジン(来須屋 仁)」は、学生時代の想い人の死と、それに続く友人の失踪という過去を思い悩み、空虚な日々を送っていた。「時間を巻き戻せたら」という思いから「リズベルル」と呼応し、弦奏鎧「ヴィルフォーナ」を動かすため、エンダージェンに招かれる。
「リズベルル」は、街外れの屋敷に一人で暮らす少女。瞳の中には弦奏鎧「ヴィルフォーナ」が封印され、それゆえに目が見えない。ジンによって封印が解かれたことで、再び視力が回復することが期待されたが……。見た目は小柄で華奢だが、魔を扱う力は並外れている。
「ノルアード」は、フィレントア家の現当主。街の水門を守るために王から対の剣を預けられ、街を任された「剣主」でもある。リズベルルの目が見えなくなったことに責任を感じ、常に彼女の身を案じている。はじめはジンを警戒していたが、やがて認めるようになる。
「ユフィーユ」は、シェラダンの新米少女騎士。生真面目で頑張り屋。剣技がまったくの素人で、魔を扱う力もないジンがノルアードに認められていることを不満に思っていたが、実戦でのジンの活躍を見て、彼を慕うようになる。
そのほかにも、人語を解す猫「アオゾラ」や、ジンたちの様子をうかがう「黒衣の男」、フィレントア邸の使用人「マール」、医師の「ウェスター」など、多彩なキャラクタが物語を彩る。
「永遠のメルディラージェ」とのダブルクリア特典も
ゲームの内容は一本道のサウンドノベル。【Enter】キー/左クリック/ホイールで文章を読み進めることができるほか、【Esc】キー/右クリックでシステム画面を表示し、文字を消してグラフィックを鑑賞したり、「シナリオ回想」で既読の文章を読み直したり、「自動テキスト送り」「セーブ」「ロード」「オブション」「ゲーム終了」といった操作を行える。設定により、テキスト速度やフォント、音量、画面モードなどを変更することも可能。ノベルゲームに求められる機能はひと通り用意されている。
タイトル画面では「Start」「Load」「CGmode」(ゲーム中ですでに見たイベントグラフィックやキャラクタの衣装、ゲームの進行に合わせたおまけグラフィックを観賞できる)、「Extra」(エピローグとおまけシナリオの「深想響界」を読むことができる)の各機能が用意されている。
本作品は、プロローグに登場する少女「イユレール」が、
- 「ほんとうの図書館」の中で、司書(のような)「コルグストム」に勧められた「ほんとうの物語」を読んでいる
という形式をとっており(ただの物語ではなく、どこかであったかもしれない、終わったかもしれない、はじまるかもしれない物語という設定)、「ほんとうの物語」シリーズ第一弾となっている。第二弾は「永遠のメルディラージェ」という作品で、両方をクリアすることで、はじめてプレイできるようになる連動特典も用意されている。