「ATOK(エイトック)」は、日本語を快適に入力するためのソフトです。日本語をコミュニケーションに使用する私たちは、パソコン上でも日本語の入力が不可欠です。ジャストシステムは、「人の思考を妨げない」自然言語処理の研究・開発を進めてきました。その成果のひとつが「ATOK」です。今回の「ATOK 2015 for Windows [プレミアム]」では、「思考を妨げない」だけでなく、のどまで出かかった、思い出せないあの言葉を見つけ出すお手伝いもいたします。
ソフトを開発しようと思った動機、背景
伝えたい言葉をすばやく的確に伝える、言葉を紡ぎ出すパートナーとして入力を支援できるよう開発を進めました。
いくつかの進化がありますが、推測変換を例にご紹介します。最初の数文字を入力するだけで、よく使うフレーズが表示される推測変換。何度も使うフレーズを短い入力で確定できるので、入力効率のアップにつながります。しかし、推測変換の結果が表示されるのは最初のフレーズのみだったため、長めに文字を入力すると表示が消えてしまい、選びたかった候補が使えないことがあって、入力のペースを乱す場合がありました。
「ATOK 2015」では、その問題を改善。タイピングが速く、一度に長めに文字を入力する場合でも、入力が進むと同時に変換結果が表示されるため、推測変換の候補が確認しやすくなりました。推測変換の候補の選択が自分のペースで行いやすくなり、入力効率が最大で20%もアップしました(ジャストシステム調べ。「ATOK 2014 for Windows」との比較)。
日本語入力にいつも使うソフトであるからこそ、さまざまな入力シーンで便利に使っていただけるよう、進化することを常に目指しています。
開発中に苦労した点
伝えたい言葉がどんどん頭に浮かんでくる場合は、前述の推測変換などで入力を進めてゆけるのですが、言葉をど忘れしてしまって正確に思い出せない場合は、入力したくても進まなくなってしまいます。例えば「もうすぐ開業する、あの、ナントカ新幹線。ほら金沢に行く、あれ」などという場合です。
このような場合の問題解決にも「ATOK」がお役に立てないかと、ずいぶんと悩みました。せめて言葉の前半を思い出せない場面の解決策をと新搭載したのが「ATOKナントカ変換」です。先ほどの会話のように、そのまま「なんとかしんかんせん」と入力すれば、一致する変換候補をいくつも表示します。
通常の変換操作のときにも変換結果の表示が遅くならないようにしなければならない、といった技術的な課題もありましたが、なによりわかりやすくこの機能の存在をお伝えする方法を悩みました。開発中は「正式な名称がついていない間の仮称」と誤解されることも多かったのですが、わかりやすさを重視し、「ATOKナントカ変換」としてご提供することになりました。
ユーザにお勧めする使い方
・よりぴったりな表現を選びたい
例えば「明るい人」と単に表現するよりは、「快活な人」とした方が“元気のよさ”が伝わります。「明るい星」よりは「煌めく星」の方が“輝いている様”が目に浮かびます。以前からこのような言い換えや類語表現を探すための連想変換を搭載していましたが、「ATOK 2015」ではユーザインタフェースを刷新。変換中に【Ctrl】+【Tab】キーを押すだけで、類語を見つけやすく表示し、より適切な言葉を選択できるように、ひと目でわかる意味情報を追加しました。
また、この類語ファインダーには、約5万語を収録した「三省堂類語新辞典」を使用することができ、検索できる類語が大幅にアップします。言い換え表現を探したい方にも、新しい言葉と出合い、ボキャブラリーを広げたい方にも、ぜひお使いいただきたいです。
・知識を広げて、誤用の防止
「三省堂国語辞典」を変換中に検索できます。入力変換操作中に【End】キーを押すだけで電子辞典が表示され、言葉の意味を確認できます。MS-IMEスタイルを選択しているときは【Ctrl】+【End】キーです。新語に強い三国(サンコク)は、パソコン上で文章を書く方にオススメです。
今後
「ATOK」は、日本語を入力する際に毎回使うソフトです。使っていただくみなさまとともに進化を続けます。「ATOK 2015」の「ATOKナントカ変換」で思い出したあの言葉、思い出したかったときに出てこなかった言葉など、みなさまからフィードバックいただき、次の進化へとつなげてゆきたいと思っています。
((株)ジャストシステム)