圧縮効率に優れた新コーデック「H.265/HEVC」により、8K動画の出力も可能になった高機能動画エンコーダ。NVIDIA社の高速ハードウェアエンコーダ「NVENC」にも対応する。「TMPGEnc Video Mastering Works」は、多彩な編集機能を備え、MPEG-1/2やH.264をはじめとした数多くの形式の動画を出力できる“定番”エンコーダ。新バージョン「6」は前バージョン「5」以来、実に4年ぶりのバージョンアップで、大幅な機能強化・追加が行われた。
新バージョン「6」での最大の強化点は、次世代コーデックといわれる「H.265/HEVC」と「8K動画」に対応したこと。「H.265/HEVC」は、現在主流のH.264/AVCに対して、同じ画質で圧縮率は2倍といわれる新コーデック。今後、登場する4K/8Kテレビ放送や新たな動画配布形式として幅広く利用される予定だ。「TMPGEnc Video Mastering Works 6」では、H.265/HEVCによる動画の入出力に対応。出力時のファイル形式(コンテナ形式)は、MPEG-TS/MP4/MKVから選択できる。
「8K動画」への対応では、ファイル入力時およびコーデックにH.265/HEVCを使用した際の出力時に、最大で8192×8192pixelまでを指定できるようになった(H.264/AVCなどの従来コーデックでは、エンコード時に8K出力ができないものもあるため、画面縮小が必要)。
さらにH.264/AVCでは、色分解能として10bit 4:4:4エンコーディングに対応。ソニーが提唱する4K対応のH.264/AVC出力形式「XAVC S」のファイル入出力も可能になった。Webサイトでの利用に適したWebM/Ogg Theora形式の動画やOgg Vorbis形式の音声も出力できる。
エンコード/デコードエンジンではハードウェア支援の利用が強化された。従来は、NVIDIA社製GPUの搭載環境でハードウェア支援機能「CUDA」により、高速なエンコードを可能にしていたが、新バージョン「6」ではCUDA対応を廃止。より新しい「NVENC」をH.264/AVCの出力時に利用できるようになった。NVENCは、CUDAに対してエンコード速度、画質ともに向上しているという(NVENCは、NVIDIA製GPUチップで「Kepler」以降のコアを搭載したもので利用できる)。Intelの動画支援機能「Quick Sync Video」にも対応し、H.264/AVCの入出力時に加え、新たにMPEG-2の出力時にも利用できるようになった。
前バージョンで大幅に強化された動画編集機能は、バージョン「6」で、タイムライン方式の編集時にタイムライン上の任意範囲の一括カット&ペーストを行えるようになったほか、プレビュー画像を無段階で拡大・縮小できるようになった。高速なレスポンスで快適に編集できるのは従来通りだ。
動画フィルタには、
- 長時間の動画を早回しで見せる「タイムラプス」
- 実景をティルトレンズで撮影し、ミニチュア風に見せる「ジオラマ」
- 動画に手書きの絵や文字などを描画できる「ペイント」
などが追加され、よりクリエイティブな動画編集を可能にしている。