香港ノワールの世界観をセンスよく描いたノベルゲーム。黒社会組織の当主である夫を襲撃された女性の復讐劇がいま、はじまる。襲撃された夫の復讐を誓う
「紅蜘蛛 / Red Spider」は、香港黒社会の抗争を描いたスタイリッシュなノベルゲーム。香港ノワールの世界観を、映画を観るような感覚で楽しむことができる。
ゲームの主人公は「越児(ゆぇ)」という名の女性。ある日、越児は、夫であり、九龍一帯を縄張りとする黒社会組織「紅花会」の当主である「永孝(よんしゃお)」とナイトクラブで楽しい時間を過ごしていた。だがその幸せは、対抗組織の構成員が放った一発の銃弾により失われる。
辛うじて一命は取り止めたものの、意識が戻る可能性はほぼないと診断される永孝。紅花会の四人の幹部は、跡目相続を狙って暗躍を開始する。だが越児は、夫の暗殺を企んだ者への復讐を果たすため、自らを当主代行として幹部たちに認めさせる……。
マルチエンディングのノベルゲームで、途中で表示される選択肢によって6ルートに分岐する。想定プレイ時間は1ルート1時間強。トータルで7時間から8時間。
香港黒社会のメンバーが個性豊かに描かれ、作品に厚みを与える
主人公の「越児」は、大陸で孤児として育ち、とある組織の下で働いていた。当時の名前は「石蒜(しーすぁん)」。組織を抜けたあと、永孝の父「楊坤(やんくん)」に匿われ、現在の名前を与えられる。「リリー」という水商売用の源氏名も持つ。
「永孝」は越児の夫。紅花会前当主の息子だが、父と同じ道を歩むことを拒絶し、弁護士として堅気の道を歩んでいた。だが父の死後、跡目争いの抗争を収拾するため、やむなく当主の座に就く。
「鬼(ぐぁい)」は永孝のボディガード。先代の頃からずっと護衛役として楊家に仕える、紅花会に忠実な男。
「來(らい)」は、越児の組織時代からの知り合いで、有能な私立探偵。鬼とも知り合い。
「陸(るく)」は、鬼が新たに手配した護衛。大柄な男で肉体労働担当。越児との面識はなかったが、同じ組織からの脱退者だ。
「樂(ゆう)」は、鬼が新たに手配した護衛で、陸の弟。ピアスをしたストリート系ファッションの青年。頭脳労働担当。お調子者だが、ハッキングが得意。
「狗頭(ごう)」は、紅花会の幹部の一人。独自路線で動くことの多い武闘派。息子のことで悩みを抱えている。
そのほかにも多くの個性的なキャラクタが登場する。