パソコン用電子地図ソフト「スーパーマップル・デジタル」シリーズもバージョン「13」となった。オフライン型地図ソフトでは、最も長く使われているもののひとつだろう。電子地図ソフトを取り巻く状況は、ここ数年で大きく変化した。“外圧”ともいうべき変化は、例えばGoogleマップなどの「Web無料地図サービス」の普及だ。なにしろネットワークに繋がってさえいれば、誰でも無料で地図を利用でき、しかも、ほぼリアルタイムで地図情報が更新されているのだから、対抗するのはなかなかの苦労だろう。
「スーパーマップル・デジタル」では、地図の高精細化、地図データのローカル保持による表示の高速化、ルート探索機能や観光スポットなどの情報連動表示など、無料のオンライン型地図サービスではなかなか対応しきれない部分を丁寧にフォローしてきた。無料で使える地図があるにもかかわらず、有償のアプリケーションとして揺ぎない地位を築いているのは、ひとえにこうした差別化の努力によるものだろう。
無料の地図サービスに匹敵するもうひとつの大きな“外圧”が、スマートフォンの普及だ。地図は持ち歩いてこそ意味がある。ポケットに入るほど小さく、常に持ち歩いて使えるデバイスであれば、使い勝手はパソコンの比ではない。だが「スーパーマップル・デジタル」は、またもこの“外圧”をうまく取り込んだ。なんとスマートフォンでも地図を利用できるようにしてしまったのだから。
なにしろ地図データは巨大だ。常にパケット通信が可能な状態にあるスマートフォンとはいえ、地図データすべてを通信で取り込むのは、待ち時間やパケット料金の点から見て、やはり荷が重い。必然的に地図データは簡略化されるわけだが、「スーパーマップル・デジタル13 DL」では、この巨大なデータをSDカードに持たせることで。高いレスポンスを確保した。泥臭い対策といえるかもしれないが、効果は大きい。スマートフォンでも“真に使える”を実現した電子地図ソフトだ。
(天野 司)