北欧神話でおなじみの人物が多数登場する「ラグにゃロク」は、愛らしいキャラグラフィックや読みやすいシナリオ、難易度バランスの取れた戦闘などが特徴の中編RPG。6〜8時間程度で手軽に遊べる。キャラクタ一人ひとりが個性的で、かわいらしい外見のわりに腹黒かったり、口が悪かったりと、シリアスなストーリーながらも、笑いどころが多い。特に、主人公「ロキ」のキャラクタがよい。面倒臭がりのわりに、こずるいラタトスクやずうずうしいフレイヤの言うことを聞いてしまうお人好しで、実はとんでもない秘密も持っている。食べ物をめぐるゴブリンとのやり取りや、ファフニールの心を通わせるシーンなど、敵キャラクタとのハートフルなエピソードも多く、楽しんでシナリオを読むことができた。
バトルの難易度は基本的に低めの設定。レベル上げなどでストレスを感じることはない。一方、やり込みを好む人向けには「迷いの森」というダンジョンが用意され、キャラクタのレベル上げや武器購入などを楽しめる。スキルの種類は豊富で、全体攻撃や属性攻撃といった攻撃のパターンも多彩。爽快感に溢れ、かつ飽きさせない作りの戦闘システムは、「ラグにゃロク」の大きな魅力のひとつになっている。
ロキの正体が明かされるあたりから、ストーリーが抜群におもしろくなってくる。それほど長いシナリオでもないので、あまりRPGをやらない人や時間がない人にもプレイしていただきたい。やり込み次第では長く遊べる作品でもあるので、ガッツリとRPGを遊びたい人にももちろんお勧め。できるだけ多くの人にプレイしてほしい、丁寧に作り込まれた良作だ。
(早川 陽子)