日ごろからMacを使っていて、センスがきらっと光る、いかにもMacらしいソフトに出合うと、とてもうれしくなる。その意味で、筆者の2003年のベストオンラインソフトは「プリントMAX!」だ。画像のトリミング、余白作成、そして複数カットの連続印刷機能を得意とするプリントユーティリティである。まず何よりも、画面デザインがシャープで美しい。画像のプレビューを表示する「メイン画面」には、必要な機能がコンパクトにまとめられている。透明度を生かしたMac OS Xらしい配色で、色数は抑え目ではあるが、ビビッドな色が要所々々で利いている。操作ボタンの形や配置なども、すっきりと洗練された印象を与える。
機能面での一番のお勧めは、使いやすいトリミングだ。画像プレビューの上に、印刷範囲を示す「トリム枠」が表示され、実際のイメージを確認しながら簡単にトリミング操作を行える。トリミング機能の利用法としては、大きく次の三つが挙げられるだろう。
- 失敗した画角(撮影範囲)を修整する
- 一部だけをクローズアップ(拡大)して印刷する
- 写真の横位置/縦位置を変更する
とにかく、何気なく撮ったスナップ写真では、余計なものが写り込んだり、人物が中心からずれてしまうなどの失敗が意外に多いものだが、こうした撮影時の失敗を修整して印刷することができるわけだ。クローズアップや画角の変更によって、写真の中心となるポイントを変えたり、精細のない写真を生き生きさせるといった使い方も考えられる。トリミングすると画像は拡大されるため、画像の解像度は下がるが、「プリントMAX!」ではトリミング結果による画像の実解像度(dpi)がリアルタイムで表示され、画質のレベルを確認できる。許容する解像度の最小値を設定しておくと、その数値を下回る場合に警告してくれる機能も備えている。
そのほか、はがきやメッセージカードに手書きのコメントを入れるための「余白」を設定できる機能、フォトフレームに入れたときなどに、外枠で画像が切れないように周囲に任意の余白を入れる機能、文字を欄外の余白あるいは画像の内部に刷り込むことができる「キャプション」機能など、画像ビューアやアルバムソフトとは一味違う「プリント専用ソフト」ならではの切れ味が感じられる。
サムネイルの一覧機能はないが、(1)1カットずつプレビューに表示して、(2)順番にトリミングを設定、(3)印刷枚数を指定する、という操作の流れはスムーズでわかりやすい。
いわゆるデジカメ写真ソフトというと、アルバムやデータ管理、スライドショウなど、「画面上で見ること」を主目的としたものが多く、「プリント」はおまけ的な印象があり、いまひとつ使いづらいのが現実だ。いつもアルバムやビューアを使っている人も、プリント専用のソフトとして一度試してみてはいかがだろうか。デジカメ写真の楽しみ方が増え、新しい世界が広がってくるはずだ。