フローティングウィンドウを使ったアプリケーションや、ダイアログから呼び出したプロパティ設定画面などをキャプチャする場合、一般的には個々のウィンドウごとにキャプチャするか、フルスクリーンで一画面にまとめることが多い。ただし、前者は画像の点数が増えたり、それぞれの関連性がわかりにくかったりするし(詳細な説明が必要)、後者は説明したい個所とは無関係な部分まで取り込んでしまうため、要点を強調しにくいといった弱点を抱えている。「WinSnap」はこうした問題を解消し、キャプチャ画像による説明をグンとわかりやすくしてくれるソフトだ。「フルスクリーン画像から必要な部分だけをくり抜く」といった作業を、キャプチャの段階で自動的にやってくれるので、編集の手間が省けるし、要点を明確に強調することができる。
「アプリケーション」モードでは、選択したアプリケーションに関連するサブウィンドウやダイアログをまとめてキャプチャしてくれるので、アプリケーション上での操作の流れを一画面で説明するような使い方に適している。一方「オブジェクト」や「指定領域」モードで対象を複数指定する場合、特定のアプリケーションにはとらわれないので、異なるアプリケーション間でのコピー&ペーストといった操作を説明するのに便利だ。
キャプチャした画像には、矢印や矩形、ハイライト(矩形領域に半透明の色を付ける)などのオブジェクトを描き加えることで、操作のポイントなどがグッとわかりやすくなる。
さらにちょっと便利なのが、エフェクトの中の「彩色(Colorize)」ツール。単にONにするだけだと、画像全体を明るく/暗くしたり、ぼかし処理をしたりするだけなのだが、先に矩形や楕円を描いた状態で使うと、オブジェクトの外側だけが処理対象となるという、一種のマスク機能として使える。また、いったん「彩色(Colorize)」を行ったあとでオブジェクトを変形させると、マスクの領域も変化する。
従来なら、ほかの画像編集ソフトを駆使してキャプチャした素材をレイアウトし、説明文や図を描き込まなければならなかったところを、「WinSnap」だけで完結できるのは、パソコン関連のマニュアルを作成している編集者や社内教育の担当者にとっては大きな助けとなるはずだ。
試用中、気になったところもいくつかあるので補足しておきたい。まず、筆者のテストマシン(Windows 10 64bit)では、「オブジェクト」モードでドロップダウンメニューやコンテキスト(右クリック)メニューをうまくキャプチャできなかった。Windows 7マシンでも試してみたところ、こちらでは概ね正常に動作した。さらに、Windows 10付属の「電卓」など、「アプリ」メニューに登録されているプログラムは、「ウィンドウ」モードでは認識されたが、「アプリケーション」や「オブジェクト」モードでは正しく認識されなかった。
また、「オブジェクト」モードには、さらに“Buttons and Controls”と“Application Windows”というオプションがあり、キャプチャしたい個所によっては、これらを使い分ける必要がある。このオプションを選択するにはキャプチャ開始後、領域を選択する段階でコンテキストメニューを開く必要がある。最初は見落としがちなので気をつけたい。
(福住 護)