2007年以来、10年ぶりに変換エンジンをリニューアルということで、相当大がかりなバージョンアップではあるが、ユーザが直接操作するような部分にはあまり大きな変化はない。「こういう操作でこんなことができるんですよ」という表層的なアピールではなく、「しばらくじっくり付き合ってみて、新バージョンのよさがわかる」という意味では「渋めで通好みのバージョンアップ」という言い方ができるのかもしれない。その一方、ユーザによっては変換エンジンの刷新以上に歓迎されそうなのが、連携電子辞典の拡充と「ATOKイミクル」の強化だ。従来、[プレミアム]には、「ジーニアス英和辞典 第5版」「ジーニアス和英辞典 第3版」が付属していたが、英和辞典や和英辞典にはあまり必要性を感じなかったり、利用頻度が低かったりした方も案外多かったのではないだろうか。
しかし、今回、新たに追加された「岩波国語辞典 for ATOK」「明鏡ことわざ成句使い方辞典 for ATOK」「大修館四字熟語辞典 for ATOK」は、最も身近な言語用だけに実用性もひときわだ。
「ATOK」では、これまでにも「連想変換」や「類語ファインダー」などの機能で日本語表現へのこだわりを見せてきたが、新たな電子辞典が追加されたことで、そのレベルはさらに高まった。ひいては[プレミアム]を購入する意味もぐんとアップしたのではないかと思う。
(福住 護)