「ゲームのプレイ動画をインターネットに配信する」「アプリケーションの操作を動画にして機能の説明をしたり、ヘルプとして公開したりする」──「GOM Cam」のような「パソコンの画面を動画としてキャプチャするソフト」の代表的な用途だ。キャプチャした内容をリアルタイムで配信する「ストリーミング動画配信」を除けば、キャプチャソフトで取り込んだ動画は通常、あとで動画編集ソフトを用いて編集することが多い。人間の操作がリアルタイムで記録されるため、操作に戸惑ったり、悩んだりする“無駄なカット”が生じるし、操作説明動画では、説明文(テロップ)を入れたり、注目したい部分に印をつけたりといった後加工が必要になるからだ。
「GOM Cam」がユニークなところは、こうした「どうしても必要になる動画加工」機能までも取り込んでいる点にある。「GOM Cam」では、画面内への文字入れ、マーカー、図形描画、アナウンスといった、通常であれば「動画編集ソフトを使って、あとから行わなければならない加工」を、キャプチャ時にリアルタイムで行うことができる。ウェブカメラ画像を挿入すれば、画面操作中の状態とマウス/キーボード操作の様子とを同時に画面内に入れ込んだり、操作者の表情などをワイプで入れたりすることも可能だ。
ワイプで動画挿入する場合などは、画面の状態とカメラ撮影の動画との同期を取るのがかなり大変な操作になるし、リアルタイムの描画動作を既存のビデオに合成する機能は、それなりにリッチな動画ソフトでなけれできない。なにより、後加工による動画編集には時間がかかる。
そう考えると、後加工として必要となる動画編集をリアルタイムで行える「GOM Cam」は、動画キャプチャソフトの領域から一歩踏み出した“オールインワン”の動画キャプチャソフトといえる。同種ソフトには見られない機能で、「GOM Cam」ならでの強力なアピールポイントになっている。
(天野 司)