地理院地図(旧・電子国土Web.NEXT)を利用する地図ソフト。さまざまな種類の地図を表示させたり、ユーザがデータを登録して、オリジナル地図を作成・印刷したりできる。「DENKOKUROBO」は、国土地理院提供の電子地図データをオンラインで取得し、表示するアプリケーション。「地図タイル」と呼ばれるデータをインターネット経由でダウンロードして表示するため、膨大な地図データのパソコンへの保存は不要。精度の高い地図データを必要なとき、すぐに利用できる。空港や鉄道、高速道路などのレイヤ地図データをダウンロードして表示させることも可能。簡易作図機能や距離・面積の計算機能なども搭載する。
地図の拡大・縮小、表示領域の移動、表示縮尺の変更などの操作は簡単。マウスでポイントした地点の経緯度や標高もわかる。小さなサブウィンドウに広域エリアが表示され、表示領域を移動できる「インデックスマップ」も備える。さらに住所、経緯度、地名、施設名などでのジャンプ、「しおり」に登録した地点へのジャンプも可能(住所や施設名によるジャンプには別途、データファイルのインストールが必要)。直角座標やMGRS(米軍グリッドシステム)など、さまざまなグリッド表示にも対応する。
地図にさまざまな情報を追加して、「プロジェクト」を作成することも可能。施設名や住所を登録したデータをExcelで作成して読み込ませると、住所を経緯度情報に変換(マッピング)して、地図上に配置してくれる。地図上の表示領域をGoogleマップやGoogle Earth、Googleストリートビュー、Yahoo!地図、地理院地図などのWeb地図で確認することも可能だ。
ベースとなる地理院地図は「背景地図」と呼ばれ、ズームレベル(2〜18)ごとに、表示する地図タイルデータを選べるようになっている。地図タイルは地図系と写真系に大別される。
- 【地図系】基盤地図情報、電子国土基本図、小縮尺地図(1/20万、1/100万、日本とその周辺)、色別標高図、単色地図、白地図
- 【写真系】電子国土基本図(オルソ画像)、東日本大震災被災地オルソ画像(2011年3月〜4月)、東日本大震災被災地オルソ画像(2011年5月〜2012年4月)、国土画像情報(1974〜1978、1979〜1983、1984〜1986、1988〜1990)
表示オプションの「より詳細な設定」では、ズームレベルに応じて衛星写真や空中写真を表示させるように設定することも可能。東日本大震災被災地震災後オルソ画像は2012年以降のデータも表示できる。ズームレベルごとの表示データをパターンとして登録しておくことができ、用途に応じてすばやく地図を切り替えられる。(ズームレベルに応じた)地図タイル画像をあらかじめダウンロードしておいたり、ズームレベル16以上では道路中心線、鉄道中心線、河川中心線の三つのベクトルタイルデータを自動表示させたりするオプションもある。データファイルをインポートし、背景地図の上に重ねて表示させることも可能。電子国土プロファイル(XML形式)、KML、拡張DM(デジタルマッピング)、基盤地図情報(数値標高モデル)、GeoJSON/TopJSON、国土数値情報(GML)形式のファイルを利用できる。さらにレイヤ機能を使って、空港、港湾、高速道路、自然公園地域といったデータを表示させたり、選択したポイントの属性情報を参照したり、文字列検索を行ったりすることも可能だ。
公式サイトでは、ジャンプ機能で使用する住所データベースファイルをはじめ、港湾や空港、鉄道、発電施設といったインフラのデータや自然公園、鳥獣保護区、豪雪地帯、土砂災害危険箇所、地価調査などのデータが収録されたアーカイブファイルをダウンロードできる。
地図表示のほかにも、「図上計測」ツールで二点間の距離やエリア内の面積を計算したり、描画ツールで図形を描いたりすることが可能。描画ツールには点(シンボル)、線(パス)、面(ポリゴン)、円、文字の5種類があり、いずれも名称や説明を書き込める。点(シンボル)ではアイコンを、そのほかの4種類では線種や太さ色などを指定できるようになっている。さらに、GPS情報付きの画像を読み込んで地図上に配置したり、GPSのログポイントを取り込んだりすることも可能だ。
作成したオリジナル地図は印刷することが可能。範囲指定印刷にも対応し、
- 指定した領域を指定した縮尺で印刷する
- 指定した領域を用紙設定にもとづいて拡大して印刷する
- 指定した領域を中心に、指定した縮尺と用紙サイズで印刷可能な領域全体を印刷する
から選択して印刷できる。VBScriptやVisual C#などのプログラミング言語を使って、「DENKOKUROBO」を外部から操作する「DENKOKUROBO Automation」にも対応する。