ミニマルなデザインが多い最近のブラウザとは一線を画す立体風のボタンや、ボタンに表示された日本語によるコマンド名が特徴的。さらに、- タブを閉じたり、ロックしたりといった操作にコンテキスト(右クリック)メニューを使用していないこと
- メインメニューを開いたときに表示されるコマンドが大きく、太字になっていること
などから見て、キー入力やマウス操作あるいは視覚面などに制約がある障碍者の方に配慮したデザインという印象を受けた(ドキュメント類には特にそういう記述はないが)。目玉機能のソフトウェアキーボードは、「英数」のレイアウトこそQWERTY配列に準じているものの、「かな」はひらがなキーの配列ではなく五十音順となっており、「記号」も独自の配列にするなど、物理キーボードの枠に捉われず、実利的な使いやすさを目指そうという意図が見える。独自のかな漢字変換機能を搭載しており、文字入力からかな漢字変換までをソフトウェアキーボード上で完結できる点にも注目したい。
こうした独自性は、その一方で一般的なブラウザとの操作性の違いも生んでいる。例えば、アドレスバーに直接URLをキー入力して【Enter】キーを押してもそのままではページが表示されず、必ず「移動」ボタンをクリックしなければならないとか、いったん「お気に入り」に登録したアイテムをほかのフォルダへ移動できない(削除やフォルダの新規作成はコンテキストメニューから行えるが、そのほかにブックマーク管理用コマンドが見当たらない)といった点は、ちょっとした違いではあるが、気になるところだ。
レンダリングエンジンにはIEコンポーネントが採用され、ページ上ではコンテキストメニューから操作することも可能。ページによっては「お使いのInternet Explorerは古いバージョンのため、正しく表示されない可能性があります」といった警告が表示される場合もあり、セキュリティ面も含め、今後の課題となりそうだ。
(福住 護)