ゲームを作ろうと思ったきっかけ・背景
ノベルゲームには以前から興味がありました。ただ、以前は小説を主に書いていたので、「いつかやれたらいいな」くらいのものでしかありませんでした。しかしながら物語を書いていくなかで、「人物と距離がとれない」という壁にぶつかってしまいました。そこで映像も演出に使えるノベルゲームに挑戦してみました。人物の表情を使うことができれば、自分のやりたかった表現ができると思ったのです。その予想はあたり、文字媒体では出せなかった距離感を出し、自分の生理的に気持ちいい物語を描けるようになりました。
私にとって気持ちのよい物語、距離とは、人間よりもマクロな視点で人間を見つめなおすこと。国、時代、文化、政治、地形、生理現象、老いること、死ぬこと、男であること、女であること、特定の社会に属すること、等々。個人の力では抗うことのできないマクロなもののなかで、翻弄されながら、流されながら、時には踏みとどまろうと抗いながら、生きている姿。その営みが私にとって最高の「綺麗なもの」であり、それを見つめることが「わくわくすること」なのです。
宇宙の映像を見て、地球の小ささを思い知り、不意に涙がこぼれるような気持ち。それを自分は「時代、国」というマクロな視点で表現しなおしたい。それが「国シリーズ」を作ろうと思ったきっかけでした。
開発中の苦労
苦労という点では背景が大変でした。異国を旅する物語なので、次から次へと背景が切り替わってゆく。それが学校や商店街といった「すぐに写真を撮ってこれるもの」ではなく、蚕養の郷や、天狗の祭りなど、現実にないものばかり。それらを現実に存在するように表現することには頭を悩ませました。多くは実際にロケハンに行き、集めてきた写真を加工したものです。それでも表現できなかったものは描きましたが、元が物書きなので、絵には苦労させられました。
設定作りのための資料集めや資料作成は、大変ではありましたが、楽しくもありました。ただ、本や写真集を買うのに金がかかって仕方なかったことには閉口しました。
ユーザへのお勧め
「キリンの国」は体感する物語です。とにかく天狗の国という世界観を楽しんでください。夏の冒険に出てください。切符を持って、電車を持つホーム。果てしない自由が目の前に広がっている開放感。日常を置き去りにする快感。そういった「旅立ち」の心地よさを味わっていただければと思います。
バージョンアップについて
「キリンの国」に関しては、今後大きなアップデートは予定していません。国シリーズの続編としは、次回作「雪子の国」のあとにも数本を予定しています。「キリンの国」。気に入っていただけたなら、国シリーズも末永く見守っていただければと思います。
(スタジオ・おま〜じゅ)