ビットマップ系とドロー系の機能を両方備えているが、ドロー系の機能は自由自在に図形を描くというよりは、「スタンプのようにオブジェクトを配置してゆく」といった性格が強いように思われる。典型的な例としては、加工した写真にロゴや図形を書き加えたり、フレーム用画像と合成したりといった使い方が合いそうだ。レイヤを使った重ね合わせやマスク処理、レイヤの統合といった機能を備える一方、オブジェクトを整列したり、グループ化したりするようなコマンドは見当たらないようなので、チャート作成のようなビジネスグラフィック的な使い方はあまり想定されていないのかもしれない。
逆にWebページの作成をかなり意識していると思われる点はおもしろい。素材用写真の加工はもちろんだが、それだけでなく、ボタンや背景用画像の作成機能を備え、さらにちょっとした彩りやアクセントにもなるさまざまなシェイプは、クリップアート集のような使い方ができる。
しかもこのシェイプは単なる素材画像集ではなく、塗りに関するプロパティ設定やレイヤに対するエフェクト指定、キャプションの入力など、さまざまな応用が利く。ありきたりなクリップアートに満足できない人にはお勧めだ。また、シェイプとは別に、背景用として動物や花、風景などの素材写真が収録されていることも付け加えておきたい(Webサイトからの追加ダウンロードも可能)。
編集が終わった画像をベースにWebページ(HTMLと画像)を生成する際には、あらかじめMETAタグやヘッダ、フッタなどを指定しておき、出力用テンプレートのように使うこともできる。
写真の加工をはじめ、ボタンや背景画像、ロゴ用テキストアートの作成などはこれひとつでかなりこなせると思う。Webデザインやチラシ作成用にグラフィックエディタをお探しの方はチェックしてみてほしい。
(福住 護)