フリーソフトながら、PDF形式で配布される資料や取扱説明書などの閲覧だけでなく、フォームの入力やデータの校閲、稟議書の回覧といった“より積極的な”使い方ができるPDFビューア。したがってデータの流れという観点では「下流側にあたるエンドユーザ向けのソフト」と一応は位置付けることができるのだが、その一方で素材としてのPDF文書の作成に利用できるという、もうひとつの側面も見逃せない。すなわち、- さまざまなエンドユーザが作成したOffice文書その他の素材を、制作者それぞれが「Foxit J-Reader」上でPDF化し、共有機能を使ってそれらを集約して、ひとつの大きな資料にまとめ上げる
といった利用形態が可能となる。最後の集約作業では、より高度な編集機能を持つアプリケーションが必要となるが、個々の素材レベルであれば「Foxit J-Reader」だけで作業できるので、最終的な制作者の負担を軽減することにもつながる。素材編集の段階から注釈やスタンプなどの機能を使って、校閲作業を効率化できるのはいうまでもない。
というわけで、上流から下流へ、データの制作者から閲覧者へという一方向の流れだけでなく、逆方向のフィードバックにも使えるところが、単なるPDFビューアとの大きな違いだ。意思決定や情報収集のプロセスでPDFを積極活用したい組織にはかなり強力なツールとなってくれることだろう。
(福住 護)