物語の続きや結末が大いに気になるノベルゲームの体験版。主人公の人間関係や置かれた状況を伝える意味合いもあってか、序盤の展開は非常にゆっくりとしている。主人公の性格が暗めでアグレッシブではないため、妹の「瑠璃」が登場するまでの展開は特に遅く感じられる。だが、瑠璃が登場してからは物語が一気におもしろくなる。明るく天然な瑠璃のキャラクタがグイグイと話を引っ張っていってくれる。瑠璃を間に置いての、主人公と「彩華」との人間関係も興味深い。
体験版の終盤、物語は一気に急展開を迎える。それまでの日常的なドラマとは隔絶した非常事態がいきなり主人公たちを襲う。この最もよいところで体験版は終わる(プレイヤーにとっては堪らない)。
主人公と学校の不良たちとの今後や、なにやら問題を抱えていそうな彩華の弟の態度も気になるところ。そしてもちろん、「ベルブ」によって引き起こされた最悪の事態がいったいどうなるのかが気になってしようがない。この事態と主人公や彩華の弟が抱える問題がどのように絡み、どのような展開を迎えるのか──完成版を読むのが待ち遠しく感じられる。
(秋山 俊)