Windowsが起動しなくなった場合や、BIOSアップデートなどのWindows上から実行できない操作を行う場合には、CD/DVD、USBメモリからパソコンを起動(ブート)する必要がある。「AOMEI PE Builder」は、そうしたブータブルメディアを作成するためのソフトだ。Windows 98/95が使われていた当時、Windowsなどを使わずにパソコンを起動するのに使われていたメディアはフロッピーディスクであり、OSはMS-DOSが主流だった。しかし、いつの間にかフロッピーディスクの姿を見ることがなくなり、またWindowsで使われるファイルシステム「NTFS」を操作できないMS-DOSは、パソコンをメンテナンスするためのOSとしては役に立たないものとなってしまった。
その結果、注目を浴びることになったのがWindows PEだ。一部のディスク管理ソフトやバックアップソフトなどで使われていたWindows PEは、しかし一般の人になじみがあるとは言い難い。Windows PEのブータブルメディアの作成手順が複雑で、知識のある人にしかできない作業だったからだ。
「AOMEI PE Builder」は、そうした困難な作業をウィザード化し、Windows PEによるブータブルメディアの作成を誰でも簡単に行える作業へと変えてくれた。純粋なWindows PEには、リカバリツールやコマンドラインのツールなど必要最小限のものしか含まれていないが、AOMEI独自のアプリケーションが組み込まれることで、システムメンテナンスツールとしての使い勝手が高くなっている。
Windows PEで起動されたパソコンは、NTFSでフォーマットされたハードディスクにもアクセスできるし、USBデバイスも普通に使える。必要ならばネットワークアクセスもできるし、Webブラウズも行える。Windowsでできることはほぼできるので、Windowsパソコンのメンテナンス用途としてはこれ以上に便利なOSはない。
Windows PEには、事務などの一般作業に使われることがないよう、72時間以上は連続動作しないような制限がかけられている。逆にいえば、こうした制限が必要になるほど、有用なOSだということ。そのOSが簡単に使えるようになる「AOMEI PE Builder」もまた、実に有用なソフトだといえr。
(天野 司)