プロの制作現場に即した本格的なシナリオ作りの手法を、そのままパソコンソフトの機能として実現しているようで、アイデアの抽出と整理から、ストーリーの流れ、シーンやキャラクタの構成、シナリオの執筆、シナリオの管理にいたるまで、一貫した流れで作業できることが大きな特徴。シナリオを構成する要素の相互連携機能も備え、例えば、ストーリーラインファイルの「アウトライン」の記述から「シーン」のファイルを切り出したり、あるいは「ハコガキ」を自動的に生成したりといった処理を行うことができる。もちろん、シーン設計やキャラクタ設計のフォーマットをアイデアまとめだけに使ったり、シナリオ原稿の執筆だけに利用したりといった使い方も可能だろう。
詳細なマニュアル(HTML形式)のほか、「シナリオエディター2」を利用した脚本制作のためのドキュメント「シナリオエディター2で物語を作ってみよう」が付属している。基本的には、シナリオ制作の手法に知識のある中上級者向けだが、ドキュメントでは基本的な構成と考え方、個別の要素の作り方などが、初心者にもわかるように詳細に説明されている。例えば、冒頭の作業となる「テーマ+3行シナリオ」の作成では、
- 物語に取り入れるアイデアから
- 物語の主題、物語の中心となる質問を導き出し、
- 人物の心理的な変化(成長)と環境の変化(問題の解決)を考える
といったような説明がされ、具体的でわかりやすい。また「メインアウトラインの作成」では、はじめに物語のクライマックスを考え、それから冒頭に戻って、オープニング(イントロ)から、本題の開始、折り返し点、転換点を設ける、といった作り方のコツが示される。さらに、著名なシナリオ理論にもとづく作成のコツも紹介されており、ドキュメントを参考にじっくり取り組めば、シナリオ作成の未経験者でもオリジナル脚本の完成までたどり着けそうだ。
(坂下 凡平)