近所の村の村長の気まぐれで大勢の勇者から狙われるようになってしまった魔王とその顛末とを描いた短編マルチエンディングアドベンチャーゲーム。やる気のない魔王はある日突然、大勢の勇者から狙われるようになる
「魔王でGo!」は、強大な力を持ちながらも、面倒くさがり屋で平和主義者な魔王と、近所にある村との関わりを描いたコミカルなアドベンチャーゲーム。ゲームの規模としては短編に属するが、バラエティに富んだエンディングが7種類用意され、しっかりと楽しめる。
ゲームの舞台は、とある広大な大陸の北端の地。そのさらに端にある島には魔王城があり、近隣地区一帯のモンスターを統べる強大な力を持った「魔王」が住んでいた。ただし、魔王は著しくやる気に欠け、日がな一日テレビ鑑賞にふける毎日。人間に害をもたらす存在でもないため、いつしか魔王を討伐しようという勇者も少なくなっていった。
ところがある日、魔王の平和な生活に危機が訪れる。近所の村でにわかに「魔王討伐」の声が上がった。その原因を探るため、魔王は重い腰を上げてこっそりと村を覗きに行く……。
物語に登場するキャラはモンスターも村人もみな個性的
魔王の名前は「STANG(スタング)」。平和主義者で面倒くさがり屋。魔王らしい野望は一切ない。テレビ鑑賞が趣味で、通販番組を見ては役に立たないものを買っている。魔王がそんな風なせいか、手下のモンスターにも凶悪性は感じられない。
「BORNET(ボーネット)」は、STANG側近の使えない執事。STANGのことを「ぼっちゃん」と呼ぶ。「魔王の掟」を守ることには口やかましいが、それ以外は結構アバウトでおちゃめ。若い女の子には目がなく、戦闘には異常に弱い。
「オミツ」は、近所の村に住む薄幸のヒロイン。多額の借金を抱えた病気の父親の看病と仕事に明け暮れる生活を送っている。
「ロック」は、「ひとでなし」な親のせいでグレ、力づくで周りを黙らせているうちに「強さのみが正義、どんな手を使っても勝った者が正しく、負けた者が悪い」という考えに取り憑かれるようになった男。
「ダーリンス」は、飼っている牛だけが友だちという変わり者。「ハニール」という婚約者がおり、互いに相手のことしか目に入らないというバカップルぶりを示している。
「シスター・ゲドー」は聖職者にもかかわらず、敬虔さのまったくない金の亡者。美貌を利用して村人から金を巻き上げることばかり考えている。
「ゴッド鈴木」は、近所の村の絶対的な権力を持つ村長で、今回の事件を引き起こした諸悪の根源。村長でありながら金貸しも兼業し、オミツ一家を苦しめている。
そのほかにも多数のユニークなキャラクタが登場する。
すべてのエンディングを制覇するため、村人と話して話して話しまくろう
ゲームの内容は、RPGツクール製の短編マルチエンディングアドベンチャーゲーム。カーソルキーで魔王を移動させ、決定キーで人に話しかけたり、目の前のものを調べたりする。
魔王は最初からとても強い(攻撃力に比べて防御力は弱い)。レベル上げなどはなく、アイテム購入などのシステムも存在しない。手下のモンスターや村の住人に話しかけて、会話を楽しむことが中心のゲームだ。マップはコンパクトにまとまっている。隅々まで調べつくし、登場するキャラには一人残らず話しかけよう。
一部、敵との戦闘もある。戦闘で使用できるコマンドは全部で3種類。「スーパー魔王ビーム」は、驚異的な威力を持つ全体攻撃の必殺技。「普通に攻撃」は、ビームよりも格段に威力が落ちる単体攻撃。「余裕をかます」では、そのターンは何もしないで、無防備に相手の攻撃を受け止める。そのほか、ターン終了時には「死んだふり」をすることも可能だ。
用意されたエンディングは全部で7種類(これとは別に、直ちにゲームオーバーになる選択肢も存在する)。村や魔王城内での魔王の行動や、魔王城にやって来た勇者に対する対応などでエンディングが変化する。