「Nero」シリーズはもともと、高性能CD/DVDライティングソフトとしてよく知られた製品。しかしながら、最近のバージョンでは、動画・音声などを含めたマルチメディアスイートへと軸足を移している。「Nero」に限らず、CD/DVD/BDライティングソフトとして名の知られた製品は、そのほとんどがマルチメディアスイートへと軸足を移してきた。CD/DVDといった光メディアは、ひとつのメディアが登場してから次の世代が登場するまでに10年以上の時間を要する。メディアの規格もそう頻繁に変更されるものではないため、一度機能が完成してしまうと、例えば、新しいOSが登場するなどの変化が起きない限りは、機能強化のポイントも少なくなってしまう。このため、ライティング以外の機能強化へと走るのはある意味、当然ということになるのだろう。
しかし、今回の「Nero 12」における強化は──久しぶりといっては何だが──“本来の機能”での強化がかなり含まれている。例えば、Blu-rayやBlu-ray 3D関連機能の強化は、Blu-rayという新しいメディアへの対応がメインだし、ライティング機能のBDXLへの対応も同様だ。バックアップ機能での2TBオーバーのディスクへの対応や、USB 3.0接続のストレージへの対応といった機能強化なども“これまでとは違う新たな環境への対応”といえる。
そしてもうひとつ、今回の「Nero」には大きな変更がある。「Windows 8への対応」だ。「Nero 12 Platinum」に含まれるすべてのソフトは、いずれもWindows 8上での動作に対応している。新しいOSが登場したときには、アプリケーションが対応しているかどうかが気になるものだが、ライティングソフトのような、比較的OS依存度が高いソフトで、すばやくWindows 8への完全対応が表明されたことは、特に購入する側にとっては安心感が高い。
バージョンを重ねてきたソフトだけあって、個別機能は充実しており、満足感は高い。Windows 8をすでに使いはじめている人にとっても、安心して購入できるソフトだ。
(天野 司)