「バージョンアップのたびに、その年(リリースの時点から見た場合は翌年)の数字が付く」というのが「ウイルスバスター」のお決まりだったが、新バージョンは単に「ウイルスバスター クラウド」という名前になった。名前に少々目新しさがあるとはいえ、製品コンセプトまで大きく変わったわけではなく、「必要な機能をシンプルなユーザインタフェースと設定で提供する」というスタンスは受け継いでいる。そんな中で目立っているのは「SNSプロテクション」や「Facebookプライバシーチェッカー」といった、Webブラウジングの安全と快適化に関連する機能の追加・強化だ。特に保護者機能におけるアプリケーションの制限は、待ち望んでいた人も多いのではないだろうか。
Webページ上のリンクをポイントするだけで安全性をチェックしてくれる「URLマニュアルスキャン」も便利な機能だが、これを使うにはブラウザに組み込まれるTrendツールバーでオプションを選択する必要がある。ツールバー自体をOFFにしていると気づかない可能性もあるので、注意しよう。
このように、一般的なWeb利用の快適性を追求している一方で、「ウイルスバスター クラウド」にはファイアウォールが含まれない点にも留意したい。Windows自体がファイアウォールを備えているので、一般のユーザにとっては不要という判断だろうか。その代わりにというべきか、Windowsファイアウォールの機能を強化するための「ファイアウォールチューナー」というオプションがある。チェックボックスをONにするだけなので、細かい設定は不要だ。
独自のファイアウォールを持たないという点を、もの足りないと見るか、あるいは好みのファイアウォールを組み合わせることができて、より自由度が高いと捉えるか。こうした視点の違いによっては、評価が変わってくるかもしれない。
(福住 護)