魔法を使うことができる機械が発達し、剣と鎧が時代遅れという、ユニークな世界が舞台のシミュレーションRPG。舞台もユニークなら、キャラクタもユニーク。冒頭から、主人公「アルシェス」と魔法使い「エーゼル」の「ババア!」「ドーテー!」という応酬が展開され、思わず笑ってしまった。その後もブラックなジョークを交えた、コメディタッチの会話が続く。特にアルシェスと宿命のライバルであるモテールとのやり取りは、若干滑稽な感じもする脱力モノ。この軽い雰囲気のおかげで、長編の物語もまったく飽きることなくプレイできた。登場するキャラクタは変わり者揃いだ。会話のやり取りは基本的に楽しい雰囲気で行われるが、ゲームシステムは至って硬派。特に魔法は合成できる種類が膨大で、属性、射程などを考慮してこだわりはじめるとキリがない。戦闘も難易度が高めで、レベル上げが必須だ。
ダンジョン内では、武器の強化などを行えない上、所持できる消費アイテムの数に限りがあり、装備する魔法の編成や持ってゆくアイテムなど、高い戦略性が求められる。トラップや仕掛けなども用意され、一筋縄ではクリアできない。さらに、冒険者ランクなどのやり込み要素も用意されている。戦略性の高いシミュレーションRPGが好きな方、細かいやり込みが大好きだという方に、特に強くお勧めしたい。
(早川 陽子)