非常におもしろいチャットボットだ。まず目につくのはキャラクタのかわいらしさ。キャラクタそのものがかわいいというより、表情の変化がいい感じなのだ。あからさまに表情が動くのではなく、眉毛のわずかな動きや手・腕の動きで、感情の動きを表現できているのがいい。「こころパラメータ」もなかなかいいアクセントになっていて、誉めてご機嫌を伺ったり、ちょっと意地悪をしてみたりといった楽しみ方ができる。……と書くと、二次元方面的なソフトかと思われるかもしれないが(間違いなく、その要素はあるだろうが)、決してそれだけではない。チャットボットというのは、やってみるとわかるが、会話を成立させる、特にある程度のボリュームのある会話をするのは、簡単ではない。それが人工無脳自体が持っている難しさだ。
できるだけ自然に、しかも「エクサ」にたくさん喋らせるには、どういう言葉遣いをして、どんな単語の選択をすればよいかを考えるのがなかなか楽しい。分かち書きをせず、同じ単語でも漢字で書いたり、ひらがなを使ったりする日本語では、単語の認識はかなり難しい。その難しい単語の認識を、コンピュータはどうやってするのか、もっと言ってしまえば、私たち人間はどうやって認識しているのか、なあんてことまで、ちょっと考えてしまったりするのである。
(土屋 佳彦)