「Acronis True Image Home」の新バージョンだが、前回紹介したのが「2010」なので、日本語版の製品では数字が「1」飛んだことになる。「2010」のレビューでも「インタフェースが一新され」と書いたが、今回はこれまで以上に大きくインタフェースが変わり、印象としては「非常にシンプルなもの」になった。「難しそうな印象をユーザに与えないようにしている」と書いた方がよいかもしれない。バックアップソフト──特に「Acronis True Image Home」のような、システムを含んだバックアップを行うソフト──は、システムそのものとの関連から、ユーザにどうしても難しい印象を与えてしまう。そうした印象のために、バックアップ自体のハードルが上がってしまうのは非常に惜しい。それを避けようとしているのではないか。
「Acronis True Image Home」は多くの機能を備えたソフトだが、やはり最も重要な機能はシステムパーティションのバックアップだ。はじめて使う人、パソコンにあまり詳しくない人にとっても、ぜひ使ってほしい機能で、極端なことをいえば「それだけが見えるようになっていてもよい」くらいだ。それ以外の高度な機能を使いたい人は、たとえ見えなくても探し出して使う。重要なのは「バックアップを取る習慣を持たない人に、その習慣を持ってもらう」ことだ。
前バージョンのインタフェースも決して悪いものではなく、かなり使いやすかったが、今回はそうした開発側の気持ちが見えて、なんだかうれしい気分になった。
(土屋 佳彦)