「OpenOffice.org(OOo)」から派生したオープンソースのオフィススイート。「派生した」という言葉が適切なのかどうか、よくわからないが、Sun MicrosystemsがOracleに買収されたことに端を発した状況の変化から、これまで「OOo」の開発に携わっていた人たちが、今後は「LibreOffice」の名前で開発を続けることになったということだ。日本では(というか、世界的にだが)オフィスソフトといえば「Microsoft Office」ということになっており、それ以外のオフィスソフトにはあまり注目されていないのが現状。Microsoft Officeに対する評価は別問題として、根幹アプリケーションのひとつであるオフィスソフトが、一社の(それもかなり高額な)製品に独占されているという状況が健康的であるとは思えない。「OOo」や「LibreOffice」のようなソフトの存在をそもそも知らない人も少なくないのだろうが、そういう方たちに、ぜひとも知ってほしいソフトだ。
「OOo」や「LibreOffice」が語られるときに、まずいわれるのが「Microsoft Officeとの互換性」。Microsoft Office文書を正確に再現できるかということだ。もちろん互換性は重要な要素のひとつだが、最重要事項のように語られるのには、筆者はどうしても違和感がある。「オフィスソフトとして使いやすいか」「効率的で、効果的な文書を作成できるか」といったことで評価されるべきだろう。互換性を重んじるばかりに作業の効率や効果を犠牲にしたのでは本末転倒だ。
「LibreOffice」を「Microsoft Office互換」という観点からではなく、アプリケーションとして評価していただきたい。その結果、Microsoft Officeの方が使いやすい、優れていると思われれば、それでいい。それこそ健全な状態だ。そのために一人でも多くの人に「LibreOffice」を試してみていただきたいと思う。
(土屋 佳彦)