3作目を迎えた推理アドベンチャー「ソラヘノキセキ」シリーズ。単体の作品としても楽しめるが、EP1、EP2を遊んでいれば、さらに楽しむことができる。EP3では、いよいよファントム事件とグリード事件の詳細が明らかにされる。誰がどのように殺されたのか具体的にわかったことで、これまでのエピソード以上に、物語にのめり込むことができた。事件の詳細に加え、今回は法王庁をはじめとする組織の内部にも言及され、より作品の世界が広がった印象。EP1、EP2では、それほど重要ではないと思っていたキャラクタにさまざまな役割が与えられ、「あの出来事の裏ではこんなことが起こっていたのか」と、テキストを読み進めながらワクワクとした気持ちが湧き上がってきた。推理部分だけでなく、複雑な人間模様もミステリーには欠かせない要素だが、その点でも十分に楽しめた。
個人的に推理アドベンチャーゲームというジャンルが非常に好きで、これまで多くのゲームをプレイしてきたが、「ソラヘノキセキ」シリーズは続きが待ち遠しい作品のひとつだ。何気ない出来事が実はとても重要な意味を持ち、物語を読み進めるうちにその謎が解かれてゆく。ミステリーゲームの醍醐味が「ソラヘノキセキ」には詰まっており、とにかく続きが気になってしまう。読み手に強くそう思わせることができるほどの、質の高いストーリーだ。
このストーリーを楽しむために、システムがきちんと作り込まれている点も好印象。アドベンチャーゲームのシステムは、シミュレーションゲームやRPGに比べて軽く見られがちだが、実はすごく重要だ。テキストを読むというシンプルな行為ゆえに、ゲームをプレイする上で少しでもストレスを感じると、ゲームがつまらないものに感じられてしまう。「ソラヘノキセキ」シリーズでは、物語を読み進める過程で詰まったり、気になったりするところはなかった。
グラフィックも丁寧に描かれ、ストーリー、システム、キャラクタも申し分ない。もしこれからこのシリーズを遊びはじめるのなら、ぜひEP1からプレイしてほしい。各エピソードのプレイ時間はだいたい4時間から6時間くらいだが、ゲームをはじめると、時間を忘れるほどのめり込んでしまうこと請け合い。ファントム事件とグリード事件の詳細が明らかになってきて、いよいよ物語が動き出してきた。ミステリアスで質の高い物語を楽しみたい人は、ぜひプレイしてほしい。
(早川 陽子)