「1/fゆらぎ」を用いた癒し系スクリーンセーバ。水面の揺らめきや木々のざわめき、街のきらめきなど、さまざまな「1/fゆらぎ」で観る者にやすらぎを与えてくれる。画面は夜。手前に水面があり、周囲を木々が覆っている。正面は星空がひらけており、はるか遠くに街の灯が見える。高台にある湖沼のほとりで、ぼーっと景色を眺めているという感じだろうか。虫の声と水の流れる音が聞こえてくるということが相まって、涼しげで心地よい雰囲気が漂う。イベントとして「月夜」と「花火」が選択できる。「月夜」には満月が浮かび、薄雲が流れていく。水面にも月が映っており、ときおり魚が泳いでいる。「花火」では星明かりの中、街から色とりどりの花火が打ち上げられ、空と水面に一瞬の姿を映し出す。
「月夜」は、とにかく幻想的の一言に尽きる。薄雲と大気で揺らめく月の姿を眺めて、ふと「『朧月夜』とはこういうことなのだろうか」と思ってしまう。そよ風が吹いているのか、水面に映る月や時折姿を現す魚、周りの木々などが静かにその形を変えていく。街の灯や星明かりが幻のようにまたたき、つい時間が経つのを忘れてしまう。鈴虫であろうか、リリリリといった虫の声も、見ている者をその情景の中に引き込んでくれる。
一方、「花火」は壮大で華やかだ。尾を引いて打ち上がり、さまざまな花が開く。一瞬遅れて、響くような音が届いてくる。それでいて、周囲は静かな雰囲気なので、真夏の花火大会のような派手さではなく、あくまでも心が落ち着くような、不思議な感覚の花火鑑賞を堪能できる。これらすべての効果が「1/fゆらぎ」をもとに計算され、表現されているというのは驚きだ。徹底したゆらぎの表現によって自然な描画が行われているため、画面の中に吸い込まれてしまう感覚を覚えるのかもしれない。
基本設定では、イベントの種類を選択できるほか、描画速度を調整できる。個人的には速い方が自然な動きに感じた。描画速度(フレーム/秒)を表示することも可能だ。個別設定では、「月夜」が画面の明るさの調整と、虫の声と水の音、魚の表示の有無が設定できる。画面が暗い方が雰囲気が出るように思うが、明るいと雲の流れや月の揺らめきがよくわかる。「花火」では、花火の打ち上げ速度、打ち上げ頻度、花火の音と水の音の有無を設定できる。速度を速く、頻度を多くすると賑やかになる。静かに楽しみたいなら遅く、少なめに設定しよう。
以前からリラクゼーション、癒し効果があるといわれている「1/f」ゆらぎは、ディスプレイだけでなく、観る者まで休ませてくれる。一見、単純なように見えて、内部では複雑な計算のもとに表示が行われているのだろうが、難しく考えずに、「1/fゆらぎとはこういうものなんだ」と、自然体で眺めることをお勧めする。パソコンを使っていると、なにかとストレスがたまるものだが、このスクリーンセーバでひと休みしてはいかがだろうか。試用期間中は一定時間経過後にメッセージが表示されるが、機能的な制限はないので、ぜひ癒しの効果を体験してほしい。
(柴崎 ひろ)