ソフトを開発しようと思った動機、背景
「ソフトウェアを通して世の中の現象がもっとよく見える」というのが開発のコンセプトです。その一環として自然科学のテキストを直接解釈して計算できるソフトウェアを開発しようと思いました。理数系の勉強は高度になるほど数式をいじりまわす時間が多くなりますよね。言葉での理解には限界がありますので、実際に何パターンも計算してみて、やっとイメージができるものと思います。しかし、それに時間をかけるのはもったいないと思いませんか。決まったルールから答えを導き出す作業はソフトウェアが最も得意とするところです。ソフトウェアを使えば公式を覚えたり、計算したりすることに時間を取られることはなく、ずっと短時間で自然科学を身に付けることができるはずです。このソフトで理数系の学習カリキュラムに革命を起こすことができればと思っています。
開発中に苦労した点
構想の時点で三つの課題がありました。この三つは現在でも「Calc Letter」の技術の主軸になっています。
一つめに、ユーザには一切の文法を覚えることなく手軽に使ってもらうことです。あらゆる数式を直感的、シンプル、短時間に入力できる方法を考える必要がありました。
二つめに、リアルタイムに数式が見られることです。TeXなどの組版処理システムを使えば、きれいなレイアウトで数式を表示することができますが、リアルタイム性を求めるなら、そのような外部のシステムは使えません。そのために独自に組版処理を開発して組み込む必要がありました。
三つめに、どんな内容のテキストからも計算を進めてゆけることです。入力中でも途中までの数式や計算結果を表示できるように、テキストの形を崩さないまま計算を進めてゆける独自の構文解析処理を開発する必要がありました。
また「予備知識なく、1分以内に使いこなせるソフトウェア」を目標としました。初期画面のチュートリアルで基本的な機能を確認後、何か入力してみればすぐに使いこなせるようになるはずです。例題集を開けば、応用範囲の広さに興味が湧くと思います。
ユーザにお勧めする使い方
まずは例題集をそのまま動かしてみてください。問題集ばりのレイアウトからダイレクトに答えが出てきて爽快と思います。そして、計算式を入力して答えを出すまでの操作がとにかくシンプルで早い。科学問題の早解きでも計算式さえわかっていれば、いち早く計算してみせることができます。
今後のバージョンアップ予定
より高度な数学の計算機能を盛り込んでゆきたいですね。大学の理学部で行う計算がすべて本ソフトで実演できるようになるのが目標ですが、道のりは長いですね。
(のざわ たかひろ)