傘を使って敵と戦う、ライトなホラーアクションゲーム。大正ロマン風のグラフィックが美しい。気晴らしのため夜に店を抜け出したミツは、見知らぬ女性から奇妙な街に誘われる
「鼈口飴(べっこうあめ)」は、4章構成のRPG風ホラーアクションゲーム。鬼婆の追跡から逃れ、傘で敵を倒してゲームを進めてゆく。作品世界にプレイヤーをグイグイと引き込む物語のおもしろさは出色。難易度は三段階から選択することが可能。想定プレイ時間は約4時間。
ゲームの主人公は、簪(かんざし)職人を目指す少女「ミツ」。下町の簪屋「坂本屋」で、住み込みの見習いとして日々、簪作りの修行に打ち込んでいた。しかし、少しばかりルーズな性格が災いしてか、兄弟子の「清(きよし)」や女将さんから厳しく当たられることが多くなっていた。坂本家の双子の兄妹「琥珀」と「翡翠」に振り回されることもミツにはストレスだった。
そんなある日、ミツは清が大事にしている彫刻刀を盗み、気晴らしに店を抜け出て、夜の町へと繰り出した。バス停のベンチに座って「どこに行こうか」と考えていたミツに、簪がよく似合う、おっとりとした雰囲気の不思議な女性が話しかけてきた。
女性の名前は「簪さん」。簪さんに促されるまま、バスに乗ったミツが降り立った先は、賑やかさと不気味さが交錯した奇々怪々な街だった……。
物語は坂本屋と奇妙な街を舞台に描かれてゆく
ゲームは4章構成。各章とも前半は坂本屋が舞台。RPGのストーリーパートと同様、決定キーで文章を送ることによりストーリーが進んでゆく。ストーリーの途中で主人公をキー操作する場面が挿入されたりもする。
後半の舞台は、バスでたどり着いた奇妙な街。前半と同じくストーリーパートも展開されるが、アクションパートが大きなウェイトを占める。アクションパートではアクションRPGなどと同様、主人公を操作しながら仕掛けをクリアしたり、敵と戦闘して勝利したりすることで、ストーリーを進展させる。
操作はキーボードとゲームパッドで行える。主人公の移動はカーソルキー。【Shift】キーとの同時押下でダッシュ。キャンセルキー(【Esc】/【X】/【Num 0】)でメニュー画面の表示、決定キー(【Enter】/スペース/【Z】)で「目の前の物を調べる」「決定」「文章送り」などとなっている。一般的なRPGゲームと同じだ。
ストーリーパートでは、会話スキップ(【S】キー)、イベントスキップ(【Q】キー)も可能。アクションパートでは決定キーで目の前の敵を攻撃する。ただし、攻撃の当たる範囲は狭く、攻撃の出も遅い。戦闘の難易度はかなり高い。
武器の傘「あまもりさん」が空腹になると、主人公が食べられてしまう
敵との戦闘でダメージを受けると、ミツの体力は「良」「中」「危」と徐々に低下し、最後は死んでゲームオーバーとなってしまう。体力の状態はメニューを開いて確認することが可能。「危」の状態になった場合は、メニューを開かなくても画面の縁が赤くなるのでわかる。メニューを開いて「おくすり」を飲めば、体力が回復する。
(体力とは別に)画面最上部にはゲージが表示されている。ミツの唯一の武器=傘の「あまもりさん」の状態を示すもので、時間の経過とともに減ってゆく。ゲージが1/3以下になると、あまもりさんの形状が触手状に変わり、ゲージが0になると、お腹を空かせたあまもりさんに主人公が食べられてしまう。
ゲージを回復させるには、戦闘に勝利して敵を食べさせるか、マップ上に生えている「ほおずき」を食べさせればよい。セーブは、マップ上に設置された「かかし」に話しかければ行える。