ソフトを開発しようと思った動機、背景
国立天文台三鷹キャンパスに設置された立体視シアターの上映用ソフトとして2003年に開発をはじめました。宇宙の階層構造やさまざまな天体の姿を、一般の方にわかりやすく立体的に伝えることが主な目的でした。いまも基本的には同じ方針で開発を続けています。2005年からはフリーソフトとしても公開をはじめ、誰でもダウンロードをして使っていただけるようになりました。現在は、個人の観賞用、教育用のツール、上映・展示用、講演会やイベントなどでのデモ用など、さまざまな用途で使っていただくことも考えて開発をしています。
開発中に苦労した点
初期の頃のバージョンの銀河系は、80万もの点を用いて描画をしていました。これは、描画が非常に重いだけでなく、見栄えもあまり美しくありませんでした。これをリアルタイムのレイトレーシング法を用いた描画法に変えました。開発に苦労もありましたが、結果として描画も高速化し、見え方もよりリアルになりました。
ユーザにお勧めする使い方
「Mitaka」の起動直後には、当日夜8時の地上(三鷹市付近)から見た夜空が表示されますので、気軽にその日の星空を見るために使ってください。もちろん日時や場所も自由に変えることができます。
「Mitaka」の一番の特色は、地球から出発して、宇宙の大規模構造までを連続的にズームアウトして見ることができる「宇宙空間モード」です。まずは、マニュアルやWebサイトに書いてあるチュートリアルを見て、ひと通りの操作を実際にしながら、宇宙の階層構造を見てほしいと思います。次に、ターゲットを任意に選択して惑星や衛星など、さまざまな天体の姿を見てみてください。
このほか、火星や月の地形、探査機の軌道や3Dモデル、巨大ブラックホールの重力レンズ効果、日食や月食などを見ることもできます。さらに、さまざまな立体視モード、投影モードにも対応しています。ぜひ、ご活用ください。
今後のバージョンアップ予定
当面考えているのは、
- 表示言語の追加
- 探査機・人工衛星の追加
- 系外惑星の軌道の表示
- 星座絵の表示
などです。また、天体の新しいデータなどが入手できれば随時、追加をしてゆきます。長期的には、Macやスマートフォン・タブレットに対応することも検討しています。
(国立天文台4次元デジタル宇宙プロジェクト)