全体を通して独特な雰囲気が漂う、個性的な短編RPG。グラフィックが美しく、登場するキャラクタがみな、一癖も二癖もあっておもしろい。想定プレイ時間が1周2時間程度と気軽にプレイできるのもうれしい。用意されたエンディングはA、B、Cの3種類。戦闘の難易度は高くはないが、攻撃力の高い敵との戦闘では一気にたたみかけられて、全滅してしまうこともある。セーブは小まめにした方がよい。さらに分岐のことも考えて、セーブファイルはなるべく贅沢に使いたい。セーブファイルは16個まで作成できる。
ゲームの目標は「敵との戦闘を繰り返し、半壊魂を89個以上集めること」だが、戦闘そのものは使えるスキルの数や装備などが限られていることもあり、かなりシンプル。戦闘はゲームを成立させるための道具立てに過ぎず、キャラクタ同士のやり取りや物語そのものが「俺があいつと雌雄を決せない件」のメインとなっている。
その観点からも、3種類のエンディングは必ずすべてを見ることをお勧めする。すべてのエンディングを見てはじめて、この作品のゆるくてダルくてちょっとダークな、あとを引くおもしろさを堪能できるはずだ。
(秋山 俊)