TIFF形式では100万×100万pixel(ファイルサイズ4GB)、PNG形式なら100万×100万pixel(同16EB)、JPEGやBMP形式でも32,767×32,767pixel(同2GB)という驚異的なサイズを扱えるリサイズ専用ソフト(値はヘルプファイルの記載から抜粋)。プレビュー画面でチェックしても、拡大によるジャギーが抑えられていたり、ディテールが鮮明になったりと、効果はかなりはっきりとわかる(効果はパラメータ設定によって異なる)。リサイズ方式が12種類もあって、どう使ったらよいのか悩みそうだが、ヘルプには「99.9%以上のケースで、画像を拡大するときにS-Spline Max、S-Spline XL、S-plineを使用することを推奨します」とあり、さらにその先には「その他の方式(バイキュービック、バイリニア等)は、単に競合製品との比較のために組み込まれているだけです」と続く。S-Splineは開発元・BenVista社独自の技術で、このアルゴリズムこそが「PhotoZoom Pro 6」の売りというわけだ。
S-Spline系のアルゴリズムに用意されたパラメータを見ると、ペーシックなS-Splineではアンシャープマスクの強度と半径に加え、微細加工の強度と感度という項目がある。これがXLになると微調整の内容がアンシャープマスク、シャープネス、微細加工、エッジ強調、ディテール強調となり、Maxではアンシャープマスク、シャープネス、フィルムグレイン、アーティファクト低減、Crispness、ヴィヴィッドネスとなる。
当然、アルゴリズムごとにプリセットの内容も異なり、S-Splineでは標準、詳細、ソフト、肖像写真、微粒子など、XLではソフト、詳細などが含まれ、さらにMaxではエクストラディテール、ヴィヴィッドなどと、より多彩になる。
これらS-Spline系のプリセットで目を惹くのが「汎用」「写真」「画像」「文字列」といった大まかなグループに分けられている点だ(項目名上の分類)。単に写真のリサイズだけでなく、デジタルデータとして記録された印刷物やCG作品などでの利用も考えられているのだろう。
S-Splineの中でも特にMaxは微調整パラメータの独自性が高い。「フィルムグレイン」は、いわゆる粒状感を調整することで、より自然な(あくまで銀塩写真的な感覚において)仕上がりが得られそうだし、アーティファクト低減はJPEG画像のノイズを抑えるのに効果がありそうだ。
こうしたS-Spline系のパラメータは、ほかのソフトではなじみがないものなので、使いこなしには少々慣れが必要だろうが、ヘルプ内に概要が説明されているので、まずは目を通しておきたい(逆にS-Spline系以外のアルゴリズムについては説明がない)。また、アプリケーションだけでなく、ヘルプもきちんと日本語化されている(いろいろな言語のヘルプがある)ところにも好感が持てる。
そのほかにも、バッチ処理で画像ごとに異なる設定ができるところや、RAWデータを直接扱えるところなど、見どころの多いソフトだ。
(福住 護)