コマンド名やドキュメント内の用語では「プレゼンテーション」という言葉が使われているが、いわゆるスライドショウなどとはひと味違ったコンテンツを手軽に制作できる。マニュアル操作には対応せず、自動再生となるのも特徴。となると、やはり「デジタルサイネージ(電子看板)ソフト」と呼ぶのが最もしっくりくる。利用例のイメージとしては、病院の待合室や銀行の窓口などで常時流れている案内を思い浮かべてもらうのがわかりやすいだろう。「Nomoad」単体でも、テロップやメディアといった部品ごとに複数のコンテンツを登録して、表示を切り替えることができる。いわば部品の一つひとつが小さなスライドショウで、さらにそれらを組み合わせて、ひとつの大きなプレゼンテーションを構成しているようなものだ。したがって、単純な画面切り替えで直線的にストーリーが展開されるものに比べると、補足的な説明を追加することもでき、より密度の高い情報を提供するのに適している。
さらに本ソフトの場合、「NomoadSchedule」を使って時間割、つまり実行パターンを定義できるところが大きなアドバンテージになっている。デパートやショッピングセンターでの利用を例に考えると、毎日決まった時間にタイムセールを告知したり、「毎月××日はポイント△倍」「○曜日は鮮魚がお得」「☆☆日から★★日は地方の特産品セール」といった具合に、日付、曜日、時間帯などに合わせて、さまざまなパターンで情報を自動実行したりすることが可能だ。
再生用プログラム(NomoadPR)が独立しており、ネットワーク経由での再生も可能だから、プレゼンテーションファイルはサーバ上で集中管理した上で、フロアごとに異なる情報を発信するといった使い方もできるだろう。
フリー版は通常版(シェアウェア)に比べると、レイアウトできる部品数や部品内のアイテム数に制限があるが、一般的な利用にはこれでも十分かと思われる(ちなみに最上位のカスタム版になると、CSV、XML、テキスト、画像などを読み込み、リアルタイムに情報を更新できる)。
販売店やサービス業をはじめ、飲食店でのおすすめメニュー表示やクーポン利用の案内、公共施設やイベント会場での窓口案内や誘導、博物館での展示物紹介、講演会や発表会での演者や演目紹介など、アイデア次第でいろいろな応用ができそうだ。特に常設のインフォメーション設備を持たない、臨時会場での催しなどには重宝するだろう。
(福住 護)