想定プレイ時間が1時間から1時間半ほどの短編アドベンチャーゲーム。とはいうものの、まったく悩まずにクリアすることは無理なので、実際には数時間はかかるだろう。謎解きの難易度にはかなり幅があり、ノータイムで答えがわかるものも多いが、なかにはヒントを見ないと答えのわからないものもあった(平均すれば、やさしめといえるかもしれない)。
しかし、一番の見どころは、謎解きよりもストーリーそのものだろう。部屋をひとつクリアするごとに、カタマリの正体と記憶が甦ってくるという設定がおもしろい。そのため、先が気になって止められなくなってしまう。モノクロの世界に色が少しずつ戻ってくる設定や画面の色使いなども演出として楽しかった。
用意されたエンディングは四つ。といっても分岐するのは最後の最後になってからなので、どれかひとつエンディングにたどり着いたあとは、サクサクとクリアできるだろう。悲劇的な、感情を揺さぶられるエンディングが用意されているので、ぜひ最後までプレイして、すべてのエンディングを制覇していただきたい。
(秋山 俊)