写真画像などの静止画を編集するフォトレタッチソフトの場合、初心者向けでは定番の機能といえるのが「全自動」の高画質化だ。例えば画像の明るさ、色の濃さ、コントラストなどをユーザがパラメータを設定しなくても、ソフトが自動で調整してくれる。一方、動画編集ソフトとなると、こうした「ワンタッチ高画質化」は、実は案外めずらしい。初心者向け動画編集ソフトでは「ワンタッチでカット編集やエフェクトを適用し、見栄えのするビデオクリップを作れる」といったものは多いが、単純に色調調整やコントラスト調整をしてくれるソフトはあまりなかったりする。
そのめずらしい機能を持つのが「VIDEOMIZER」だ。おそらく動画を最適化するという意味で「VIDEO」+「OPTIMIZER」をかけているのだろう。ワンタッチで動画の色調やコントラストなどを最適化してくれる点がなんといってもセールスポイントだ。
実は動画の場合、人間の目は色調のズレなどを勝手に補正してしまうので、静止画と比べると細かな色の違和感などは案外気にならなかったりする。例えば、DVD映像をテレビで見るのとパソコンの画面で見るのとではかなり色調の差があるのだが、映像に没入するとすぐに気にならなくなる。
こうしたところが、動画画像の自動補正機能がいまいちメジャーにならない理由なのかもしれないが、しかし、「VIDEOMIZER」のように二つの動画を並べて見せられると、あまりの違いに驚いてしまうほどだ。このソフトの場合、動画のフォーカス(シャープネス)やアーチスティックなフィルタなどを搭載するわけではないため、これだけで動画編集を行うわけには行かないが、ほかのソフトではなかなか見られない“一芸”を搭載しているというだけで、かなり意味のあるソフトであることは間違いない。
(天野 司)