「画面全体に並んだアプリケーションやフォルダのアイコンをタッチして起動する」という、スマートフォンやタブレットに近い使い方を可能にするソフト。特に、同じタブの中でのページ切り替えがスワイプ風だったり、アイコンの並び順を変えるときにアイコンの長押しが必要だったりするあたりは、いかにもそれらしい。一方、Windows風なところも残っていて、画面上部をダブルクリックすると、フルスクリーン表示になったり、元のサイズに戻ったりする。目に見える形でタイトルバーがあるわけではないが、使い方としてはタイトルバーのダブルクリックと同じだ。「Show Control Box」というオプションをONにすると、画面の右上隅に「閉じる」「最小化」「元に戻す」といったおなじみのボタンが現れる。好みに応じて使い分けるとよいだろう。
「ViPad」の画面は半透明なので、デスクトップのアイコンや壁紙は透過表示される。「Hide Desktop」というオプションをONにすると、デスクトップアイコンは隠れて、壁紙だけが表示される。ウィンドウを最大化してしまえば、外観は完全にタブレット風だ。ところが筆者のパソコンでは、試用しているうちに、いつの間にかこのオプションが効かなくなり、アイコンが表示されたままになることがあった。Windows自体のオプションでデスクトップアイコンを隠してもよいのだが、「ViPad」を起動するだけで勝手に切り替わってくれるのは便利なので、ちょっと気になるところだ。
Windowsらしさを残しているという点では「Always On Top」の使い方も要注意だ。このオプションは「Minimize After Launch」というオプションとセットになっており、「Always On Top」をONにすると、「Minimize After Launch」も同時にONになる。つまり、アプリケーションを起動すると「ViPad」が最小化されるため、最前面表示になっていてもアプリケーションの使用を妨げないというわけだ。しかし、「ViPad」が表示されているときにタスク切り替えなどでアプリケーションウィンドウを開くと、当然「ViPad」の方が前面になる。使い方には気をつけよう。
ちなみに「Always On Top」と「Minimize After Launch」が同時にONの状態から「Always On Top」だけをOFFにすることはできるが、「Minimize After Launch」だけをOFFにすることはできない。また「Minimize After Launch」は「Stick to Desktop」というオプションと排他選択になっているため、両方を同時にONにすることはできない。どうやら「Stick to Desktop」は常に画面に表示するためのモードで、最小化することはないという意味のようだが、設定によっては「Stick to Desktop」も「Minimize After Launch」も両方OFFになる状態があるため、いまひとつ意味がわかりにくい。
そんなわけで海外製ソフトならではのわかりにくさがやや感じられる部分もあるが、実用上、差し障りがあるというほどでもなさそうだ。Windowsパソコンとタブレットを併用していて、外観や操作感をできるだけ統一したい方にお勧めしたい。
(福住 護)