仮に、毎日の業務で発生するファイルを、年>月>日という3階層のフォルダで整理してきたとしよう。ところが、だんだんと管理が煩わしくなり、「日付はファイル名で判別できるし、月レベルでまとめればいいかな」などと気持ちが変わってきたときに、過去のファイルはどうするかというと……。エクスプローラに代表されるオーソドックスなGUI式ファイラであれば、次のようなことになるはずだ。- ある一日のフォルダを開く
- 全ファイルを選択して、1階層上の月レベルフォルダにドラッグで移動
- 同じ作業をすべての日について繰り返す
- いらなくなった日レベルのフォルダをすべて削除
考えただけで、マウスを握る指が攣りそうだが、もし過去のデータが1ヵ月どころか、数年分たまっていて、これを「業務命令だから、君が全部移動するように」などと指示されたとしたら、「とてもじゃないが、やってらんねー」というわけで、愚痴のひとつやふたつではとても収まるまい。ところがそんなときも、「AbRelCopy」さえあれば、相対パス指定を使って一瞬のうちに処理してくれる(もっとも、ファイルをリストへ登録する手間は必要ではあるのだが)。
見えているフォルダへ直感的にドラッグするというGUIスタイルに慣れた人にとっては、相対パスのイメージをつかめるかどうかが使いこなしのポイントだが、「〜の〜の〜に」という言葉による説明をうまく使ったユーザインタフェースは親しみやすそうだ。
おもしろいなと思ったのは、絶対パスで指定する場合でも「n階層上と同名フォルダ」ボタンが使えること。これを利用すると、現在のパスの上位フォルダをコピー/移動先に再現することができる。エクスプローラでいえば、ファイルではなく、その上のフォルダをドラッグコピーする感じだ。
ただし、フォルダをドラッグした場合は、フォルダ内のファイル全部が対象になってしまうが、このやり方だと「必要なファイルだけ選んでおいた上で、その上位のフォルダを再現する」ので、不要なファイルは除外できる。文章にするとちょっとややこしいが、絶対パス指定でありながら、ある意味「相対パス的」な使い方だといえる。
逆にひとつ気になったのは、リストに登録したファイル/フォルダを個別に削除できないらしいという点だ。ドラッグ&ドロップでの登録時に余計なファイルが混ざっていると、コピー/移動の実行前に気づいても、不要なものを除外できないので、選択をやり直すことになってしまう。
現在の仕様でもかなり便利だが、これにもしファイルのリネームや連番生成が加わると、さらに数段強力になるはずだ。また、ファイルの登録を便利にするためにも、使い勝手のよい検索ソフトと組み合わせて使ってみたい。
(福住 護)