最近のバックアップソフトにはクラウドストレージを積極的に利用しているものも多く、アカウントを登録するだけで、簡単にバックアップ先を設定できるものもある。「Areca Backup」では、そこまでの対応はしていないものの、FTP/SFTPに対応しているのは自前のサーバを利用できる人にとっては大きな魅力となる。もうひとつの魅力は、バックアップ設定におけるグループ化だ。ターゲット単位とは別に、グループ単位でのバックアップも可能なため、いろいろな使い分けが考えられる。例えば、「オフィスドキュメントとマルチメディア系のファイルは、それぞれ別のドライブにバックアップしたいので、異なるターゲットに登録する」一方で、「バックアップはまとめて実行したいので、それぞれのターゲットをひとつのグループにまとめて、グループ単位でバックアップする」といった使い方が考えられる。管理上、グループが不要であれば、ターゲットのみを登録して使うことも可能だ。
そのほか、タブを切り替えるだけでバックアップ先を参照できたり、バックアップ対象ファイルのフィルタ設定でいろいろな条件を設定できたりするのも便利だろう。
一方、ややわかりにくい点もある。ひとつはターゲットの編集画面で利用できる機能に制限があること。保存先となるリポジトリやソース設定、フィルタ設定などはあとから変更することが可能だが、なぜか圧縮や暗号化など、変更できない個所がある(これらは、ターゲットを複製すれば、そちらでは変更できるようだ)。
もうひとつは、スケジュールバックアップに関する機能がないこと。代わりに「バックアップ戦略コマンドの作成」でバッチファイルを作成すれば、Windowsのタスクスケジューラに登録して利用できるのだが、その分手間がかかるし、バッチファイル作成方法自体もわかりづらい。
とりあえずはマニュアル実行のみでいいと割り切ってしまえば、グループによる管理やFTP/SFTP対応というメリットを手軽に活かせるだろう。
(福住 護)