雑誌や書籍の編集では、できて当たり前という意味で重要な作業のひとつに「表記の統一」がある。簡単にいうと「コンピューター」と長音記号を付けるのか、それとも省いて「コンピュータ」とするのかといった決まりごとだ。単語ひとつならエディタの検索・置換機能で簡単に片づきそうだが、実際には、動詞の語幹と活用形の関係を配慮したり、当用漢字にない文字をひらがな書きにしたりといったことまで考える必要があり、意外と手間のかかる作業だ。
「TextSS.net」は、このような複雑な置換処理をスマートにこなしてくれるソフトだ。基本的な文字列置換、ワイルドカードを使ったやや高度な置換、正規表現による複雑なパターンマッチング、そして全角/半角の統一といった作業を、パターンの組み合わせによって自在に使い分けることができる。
加えて、パターンリストによる設定の保存と再利用、リストの使い分けや一部パターンのみの適用といった柔軟性の高さは、テキスト編集の効率を飛躍的にアップさせてくれるし、置換の状態を事前にチェックできるテスト機能やバックアップ/復元用コマンドを備えているのも大きな安心材料だ。
対象ファイルを登録する際のフィルタとしてHTMLやCGI、PHPといった設定が用意されていることからもわかるように、Webサイトの更新やテンプレートのメンテナンスといった作業でも活躍してくれるはずだ。
コマンドやオプションが多く、一見しただけではかなり複雑そうに見えるが、PDF形式の詳細なマニュアルが付属しているので安心だ。
(福住 護)