画像のリサイズといえば、「デジタルカメラで撮影した画像をWebページなどで表示しやすくするために行う」といった用途が真っ先に思い浮かぶ。多画素化が進んだ最近のデジタルカメラで撮影した画像は、1600万画素や2400万画素、多いものだと3600万画素など、普通にパソコンの画面で表示させるには画素が多すぎるし、データサイズも大きい。こうした風潮はここ数年変わっていないが、最近ではリサイズの使われ方も次第に変化してきたように思う。というのは、リサイズされた画像を表示する機器が従来に比べて変わってきているためだ。
例えばスマートフォン。最新の機種ではスマートフォンの小さな画面でも、パソコンのディスプレイ並みの画素数を持っているものが増えている。Androidスマートフォンでは、今年登場のモデルの多くが5インチサイズでありながら、フルHD(1920×1080)という、従来では考えられない画素数を持っている。これは、たいていのパソコンのディスプレイよりも多いか、あるいは同等程度だ。しかし、いくら画素数が多くても、スマートフォンの画面が(パソコンと比べて)小さいということは変わらない。一つひとつのドットが小さくなっているだけだ。
こうした状況では、画像リサイズの際に設定すべきパラメータは自ずと変わってくる。例えば、リサイズ後のサイズはパソコン向けよりは大きくすべきかもしれないし、またドットピッチの細かいディスプレイで表示することを考えると、シャープネスは従来より強めにかけるべきだろう。パソコン向け、スマートフォン向け、あるいはテレビ向けなど、それぞれ最適なパラメータを選ぶことで、よりよい結果が得られる。
その点「Ralpha Image Resizer」はよく考えられている。特によいと感じたのが「履歴」機能だ。10個までのリサイズパターンが履歴として記憶されるため、必要なパラメータセットをすぐに呼び出すことができる。この機能だけではないが、本当にこのソフトは「痒いところに手が届く」機能を満載している。作者の方が「ユーザにとって真に必要な機能は何か」をよくわかっているからだろう。
(天野 司)