30時間以上におよぶ壮大なファンタジーストーリーを堪能できる「Last Grace」。渦巻く陰謀や、巨大な組織同士による熾烈な戦い、世界を巡る謎……膨大なシナリオ量にもかかわらず、展開はプレイヤーを飽きさせない。キャラクタは数多く登場するが、味方・敵を問わず、みな魅力的。それぞれの思惑や複雑な人間模様など、見どころは多い。かといってシリアス一辺倒でもなく、主人公「ルシア」や「ミト」の会話などは、時におもしろかったり、微笑ましかったりもする。キャラクタ同士の会話のやり取りにも注目してほしい。ストーリーもキャラクタも世界観も非常によく作り込まれているが、キモはやはり「やり込みに特化したゲームシステム」といってよい。キャラクタを育てるだけでも、かなり手間暇かけて楽しめる。自由度が高く、キャラクタを自分の好きなように育ててゆける楽しみを存分に堪能できた。サブクエストもさまざまな種類が用意され、気がつくとあれもこれもと手を出したくなるので、複数を請け負うことができない仕様はかえってありがたかった。
戦闘の難易度はやさしすぎず、難しくもないという絶妙な加減で楽しめた。筆者としては、冒頭のチュートリアルに相当する「試練の洞窟」で、歯ごたえのある戦闘を楽しめたのがうれしかった。ただし中盤以降は、ノーマルでもかなり敵が手強くなってくる。キャラクタのステータスアップは必須だ。
やり込もうと思えば、30時間とはいわず、何時間でも遊ぶことができる。「レベル上げが大好き」「キャラクタ育成が大好物」というRPG好きの方に、ぜひ遊んでいただきたい。
(早川 陽子)