薄型テレビ、Blu-rayレコーダ、デジタル放送チューナなど、最近のデジタル映像機器では、Ethernetによるネットワーク機能を搭載していることが普通になってきた。例えばテレビやチューナであれば、本体には録画機能を搭載していないが、ネットワークで接続された先のレコーダで録画を行ったり、逆にレコーダ内の動画をテレビで再生したりといったことが可能になっている。こうした「ネットワーク経由の再生」を可能としているのが、DLNAと呼ばれるデジタル家電用のネットワーク規格だ。DLNAで定められている機器の種類は「デバイスクラス」と呼ばれ、例えば「メディアサーバ(DMS)」であれば、動画や音声などのコンテンツをほかのDLNA機器に対して配信する機能を持ち、「メディアプレイヤー(DMP)」であれば、メディアサーバからコンテンツを取得し、これを再生する能力を持つといった具合に機能定義がなされている。
「PowerDVD 12 Ultra」は、これらデバイスクラスのうち、従来から対応していたDMS・DMPに加え、新たにDMC/DMRの計四つのデバイスクラスに対応した。同種アプリケーションに比べても、ダントツに多い数だ。
DMC/DMRが提供する機能は、ネットワークで接続されたDLNA機器をコントロールしたり、ほかの機器からコントロールされたりるといった、機器間の連携動作をより高いレベルで実現する。例えば「PowerDVD」がデジタル家電をコントロールしたり、デジタル家電から(パソコンに手を触れずに)直接「PowerDVD」の動作を制御したりできるといったことを意味する。
つまり「PowerDVD 12 Ultra」の存在により、いよいよ名実ともにパソコンがデジタル家電の一員となるわけだ。単なるプレイヤーではなく、パソコンの新たな使い方を提案するソフトとしても注目したい。
(天野 司)