「結月ゆかり」の音声は、従来のVOCALOID音源と比較すると、言葉がはっきりとしており、何を歌っているのかわかりやすい。声の質の違いがあるのかもしれないが、あまり苦労しなくても、自然な発音の歌声を作りやすく、聞き取りやすい。そんな「結月ゆかり」には、もうひとつ大きなポイントがある。姉妹製品として、株式会社エーアイ開発の「AI-TALK」を利用した入力文字読み上げソフト「VOICEROID+ 結月ゆかり」が同時に発売されたことだ。「VOICEROID+」は、「VOCALOID3 結月ゆかり」と同じ声で、通常の会話音声を合成してくれる。
「VOCALOID」と「VOICEROID」、両者は開発元も異なるし、音声データの互換性もない。そのため、これまでは「同じ声」で歌声と会話音声を合成することができなかったが、それが今回はじめて可能になった。
これはかなり画期的なことといえるのではないだろうか。従来の「VOCALOID」では、一部の歌謡曲にみられる「語り付き」の曲を再現することはできなかったか、あるいはものすごい苦労が必要だったのだが、「結月ゆかり」であれば、こうした語り付きの曲も、実に簡単に作成できる。結果として「結月ゆかり」という音声は、「VOCALOID3」の世界をより一層広げることになっている。
(天野 司)