ここ10年ほどの間に、最も進化したアプリケーションのジャンルのひとつとして「はがき作成ソフト」を挙げてもよいかもしれない。毎年ある季節になると(ちょうどいまごろだ)、いくつかのはがき作成ソフトを触らせてもらうことになるが、その充実ぶりには驚かされるばかりだ。はがき作成ソフトには、データベースとしての住所録、入力支援、デザイン、画像のレタッチやグラフィックエディタまで、さまざまな要素が含まれる。オペラを総合芸術と呼ぶのと似た意味で、総合ソフトとでも呼んでもよいかもしれないが、とにかく機能が多様かつ高度になっているのだ。特に画像関連機能については、専用のグラフィックエディタやレタッチソフトと比較しても遜色ないレベルのものも少なくない。
しかし、そうした画像処理機能を必要としているユーザばかりではない。「写真は普段の家族写真や旅先での印象的な風景写真をそのまま使うから、せいぜいトリミング機能があれば、それで十分」という人もいるだろう(というか、そうした人が大半なのではないか)。むしろ操作が簡単で、効率的にはがきを作成できるソフトを求めるユーザは少なくないだろう。
「はがき作家」は、そんな人にぴったりのソフトだ。何でもできる、というソフトではないが、はがきを作るときに本当にほしいと思える機能はしっかりと押さえながら、「シンプルで使いやすい操作感で、効率的な作業ができる」ように考えられている。ソフトが「あてな」「うら」の二本立てになっているのも、一見面倒に見えて、実ははがきを作るという作業を検証すると、とても効率的な方法だ。
(土屋 佳彦)