1周が2時間程度という短編ながら、キャラクタ、ストーリー、設定、謎解き要素、戦闘システムのすべてにおいて完成度の高い作品。ストーリーは(基本的に)コメディ調で進んでゆく。主要登場キャラクタは4人と少なめだが、全員個性的で、とにかく会話がおもしろい。主人公の「コレット」は一見無謀に見えるが、実は一番の常識人。ゲーム内では基本的にツッコミ役を演じる。まともそうに見える「ジル」や「ユル」の変わった趣味が徐々に明かされるにつれ、思わず頬が緩んでしまった。ダンジョンでの謎解き要素は、頭を使わなければならないが、詰まるほどでもない、絶妙の難易度。プレイしていて気持ちのよい達成感が得られた。その分、戦闘の難易度は高めに設定されている。最初の印象では、レベルの高いジルを攻撃に回し、MPの多いコレットをサポート役にするつもりだったのだが、ジルの物理攻撃が思っていたより敵に通らなかった。そのため筆者は、ジルにアイテムを使わせてパーティメンバーを回復させ、コレットの魔法でじりじりと相手のHPを削るという戦法をとった。ただし、ダンジョン内ではアイテムを購入できないため、このやり方はアイテムが尽きると痛い。1回の戦闘ごとにベッドで寝て、回復を図ることをお勧めしたい。
短いながら、謎解きでも戦闘でも頭を使う場面が多く、歯ごたえがある。軽妙でテンポのよいストーリーと相まって一気にプレイでき、本当に2時間があっという間だった。クリア後は、登場キャラクタの詳細な設定や、ファーンド兄弟とジルとの因縁などが明かされるオマケも用意されている(さらに2周目を楽しめるやり込み要素も)。
短時間で手軽にRPGを楽しみたい人はもちろん、難易度高めの戦闘をガッツリ楽しみたい人にもお勧めできる。RPGが好きな人にはぜひ、プレイしていただきたい。
(早川 陽子)