電卓ソフト「Caline」の大きな特徴のひとつは、C/C++言語と非常に高い親和性を持つということ。C言語で使われる数値演算用の演算子、論理演算子、三項演算子にすべて対応。mathライブラリで使われる関数にも対応し、さらには変数もC言語と同様に大文字/小文字が区別される可変長の変数名に対応している。結果として、C言語のプログラムリストから計算式が含まれる行をコピー&ペーストして貼り付けるだけで、そのままその式を計算することが可能。C/C++言語のようにコンパイルを必要とする処理系が多い言語の場合、ソースコードに入力した式が期待通りの動作をしてくれるかどうかは、コンパイルしてみないとわからないことが多いが、「Caline」がその場にあれば、コンパイルしなくてもその式が正しく動作するかどうかを確かめられる。
複雑な式──例えば括弧を大量に含むような計算式や、三項演算子のような複雑な並びをする式──を入力する場合などには、プログラムを入力している段階で括弧の対応関係がわからなくなってしまうようなことも少なくない。こうした場合にも、「Caline」の「1行単位で式を評価できる機能」が存在することはありがたい。
こうしたC/C++言語との親和性の高さや「Emacs」キーバインドにも対応する点などを考えると、「Caline」は“プログラマ向けの電卓ソフト”と言ってもよいのではないだろうか。ヘルプや関数リファレンスなどがボタンからではなく、コマンドとして呼び出せる点なども、そのセンスはまさにプログラマ向き。もちろん一般用途としても十分に使えるソフトだが、プログラマにとっては“打てば響く”タイプの電卓ソフトであることは間違いない。
(天野 司)