トラックボールのマウスに対するアドバンテージは、デバイス本体を動かすスペースが必要ないことだ。本体はマウスに比べてやや大振りだが、固定して使えるので手首への負担も少なく、狭い机上で使うときには意外に重宝する。カーソルの移動量はディスプレイサイズに比例して多くなるので、画面が広くなるほどトラックボールの“ご利益”は大きい。さて、トラックボールはマウスとは異なる、独自の進化をしており、ホイールを搭載しないものも多い。ボールが親指側にあり、人差し指/中指の側にホイールを含めた3ボタンを搭載する製品もあるが、トラックボール本来の「人差し指または中指で真ん中のボールを転がす」操作感とは異なる。そこで4ボタンタイプのトラックボールで、スクロールホイールの使い勝手を実現しようとしたのが「Nadesath」だ。
筆者は日常的にはマウスユーザだが、真ん中ボタン型のトラックボールで「Nadesath」を試してみた。使う前は「カーソル移動と画面スクロールというまったく異なる操作を1個のボールで兼用するのは煩雑になるかな」と思っていたのだが、使ってみるとかえってシンプルな感じがする。特に、Webページやサイズの大きな画像など、縦横に広いウィンドウを閲覧・操作する場合には効果を発揮しそうだ。
カーソル移動/スクロールの切り換え方法は、ボタンの押下とボールの回転の組み合わせが基本となるが、
- 押下+回転の間だけスクロール
- 押下しながら回転をはじめると、スクロール操作を固定(押下を解除しても継続)
- 押下したボタンを離してから、ボールを回転させてスクロール
など、細かく設定(選択)できるので、使ってみて自分の感覚にフィットするものを選べばよい。スクロールをはじめた位置のウィンドウが自動的にアクティブになるのも便利だ。一度「クリックでアクティブにしてから」スクロールする、というステップが減るだけでも大きな省力化になる。トラックボールユーザにはもちろんお勧めだが、広大なデスクトップを使っていてカーソルの移動に苦労しているマウスユーザも、「Nadesath」を使ってトラックボールのデビューを検討してみてはいかがだろうか。
(坂下 凡平)