ストーリーが重視された、優れた演出のRPG。呪われたサーカス団で行われる、凄惨なデスゲームが描かれる。捕まれば死か、それよりも辛い制裁が待ち受ける
「PIERROT+」は、サーカス団を舞台にした、ちょっとダークなRPG。主人公は、入団したばかりのサーカス団で突如、制裁の対象となってしまった人形遣い。制裁から逃れるには、次のサーカス公演日まで逃げ続けなくてはならず、捕まってしまえば、直ちに死の運命が待ち受けている。果たして主人公は無事、団長のところにたどり着き、生き延びることができるのだろうか!? 用意されたエンディングは、BADとTRUEの2種類。少しずつストーリー展開が変化し、異なるエンディングへと辿り着ける2周目も用意されている。
主人公の名前は「セイジ」。祖父の形見である人形のアンティークを大切にしている青年で、ほかの人には聞こえないアンティークの声を聞けたり、会話したりすることができた。
セイジは、古くからある巨大サーカス団に人形遣いとして入団するが、入団早々「ピエロゲーム」のターゲットにされてしまう。「ピエロゲーム」とは、団長にとって不都合なことをした団員を制裁する恐怖のゲーム。「ピエロリスト」に載せられた者は、団長によって「最も辛いと思うこと」を強制的に執行されてしまう。多くの場合、それは「死」を意味する。拒否することはできず、逃げようとした者は他の団員たちに追い詰められて、殺されてしまう。ゲーム中に館から脱走することも不可能。制裁から逃れるには、次のサーカス公演日まで誰にも捕まることなく、逃げ延びるしかないが、これまで逃げおおせた人間は一人もいない。果たしてセイジは生き残ることができるのか!? かくして命を賭けた「鬼ごっこ」が開始された……。
団の幹部がいる「5つの間」をすべて回り、団長の居場所を知る手がかりを探そう
団員の中にはセイジの仲間となってくれる者もいる。ひとりは団長の娘「カナ」。カナは、ピエロゲームにはまったく興味はないが、団長探しに付き合ってくれることになる。死神役の「アオイ」にその首――頭部をつけ狙われており、なぜかカナもアンティークの声を聞くことができる。
もうひとりはピエロの「サトル」。どうやらサーカス団の中でも古株のようで、セイジにピエロゲームのルールを説明してくれた上、自分の部屋を他の団員から襲われることのない安全な待避所として提供してくれる。もちろん団員たちとの戦闘でも強力な味方となってくれる。特に回復系の特殊技能を数多く備えているのが心強い。
もちろんアンティークも強力な仲間だ。人形なので動くことはできないが、「眼力」「魅了」「幻影」などの精神系の攻撃を得意とする。
カナ、サトル、アンティークに主人公のセイジを加えた4名でパーティを組み、サーカス館の中を団員たちと戦いながら探索する。目的は、団長に会って、セイジの名前をピエロリストから抹消してもらうこと。しかし、団長の居場所は誰も知らない。そこで、団長がよく出入りするという「5つの間」を回ってみることになる。
「5つの間」は、団員の中でも能力が飛び抜けて高い5人の実力者に与えられた個人訓練所。他の団員たちが入りたがらない、危険な場所でもある。セイジたち一行は、「巨人」「水槽」「猛獣」「玩具」「死者」の間をひとつずつ順番に制覇していかなくてはならない。当然、それぞれの間には異なる仕掛けが用意されている。
館の中には隠し部屋や、何度も訪れなくてはイベントの起きない部屋が数多くある
ゲームの基本操作や敵との戦闘は、RPGツクールで制作された同種ゲームと基本的には同じ。ただし、使用する武器や装備などがサーカスをテーマにした作品らしいものとなっている。アンティーク以外の装備や回復薬などは館の中にある売店で購入できる。アンティークの装備は、館のどこかにいる「ヨシタカ」のもとに、人形を持っていくことで入手することが可能。武器は、やはり館のどこかにいる「ゲン」から購入できる。
鍵の掛かっている部屋は、「蝋の鍵」を使えば開けられる。蝋の鍵はその名の通り、蝋でできており、鍵穴に合わせて変形して、大抵の鍵を開けることができる。その代わり、一度使うと溶けてなくなってしまう。なお、呪いのかけられた一部の鍵穴は、専用の鍵でないと開けることができない。蝋の鍵は、ストーリーが進むと購入することもできるようになるが、それまではかなりレアなので、慎重に使用しよう。
「PIERROT+」ならではの仕掛けもある。ひとつは館の随所に存在する風船。風船針を入手することで割ることができ、割ると中からアイテムが出てくる。ただし、毒ガスが詰まった風船もあるので、注意が必要だ。サトルの部屋にあるパソコンを使ってサーカスのホームページにアクセスし、館の地図やピエロゲーム規約を見たり、BBSを使って情報収集したりできるのもおもしろい。館の部屋の中には、何度も訪れなくてはイベントの起きない部屋もあるので、この点にも要注意だ。