「Photo Zooming」は、画像内の指定した一部分だけを残し、周囲を放射状にブレたような感じにする「ズーミング効果」を適用できるソフト。選択した部分に視線を集中させ、平坦な画像の中から狙った部分だけを強調できる。使い方は簡単。

1. デジタルカメラで撮影した写真など、対象の画像を読み込ませ、
2. 画像内で強調したい部分を指定して、
3. プレビューで確認後、保存する

画像の読み込みはJPEG形式に対応する。ドラッグ＆ドロップで読み込ませることも可能。他形式の画像を読み込ませたい場合は、クリップボード経由で行えばよい。一度に加工できる画像は1枚。読み込みが終了すると、元画像が「Src」タブに表示される。「Src」タブのプレビュー画像には、強調の中心点を示す円がオーバーレイ表示されている。この円は、最も強調したい部分（ズーミングの中心点）にドラッグで移動させることができる。

指定完了後、メニューで「Make」→「Preview」を選択すると、ズーミング効果の適用された画像が「Dst」タブに表示される仕組み。元画像の「Src」タブと、加工後画像の「Dst」タブはワンタッチで切り替えることができ、エフェクトのかかり具合をひと目で確認できるようになっている。

エフェクトのかかり具合を調整することも可能。変更できるパラメータは、

• Length：ズーム量（ブレの長さ）
• Density：ブレの密度（ブレ表現の強さ）
• Spot：ブレ表現されない中心部のサイズ
• Chromatic：ブレ表現に色ずれが含まれるかどうか
• Twist：回転方向のブレが加わるかどうか

プレビューで満足のゆく画像になったら、メニューの「Make」→「Fullsize」で、最終的な出力解像度でのレンダリングを行う。「Fullsize」で元画像と同じサイズの加工後画像を得られるほか、画像の長辺が600/800/1,200/1,600pixelになるようリサイズして、レンダリングすることも可能だ。

「露光間ズーム」を実行するには、カメラのシャッターが開いている間（つまり露光している間）に、レンズの焦点距離を連続的に変化させる（つまりズームする）。大きな効果を得るにはシャッター速度を遅くしなければならないので、手ぶれなどに注意する必要があるし、動くものを撮影する場合には、被写体ぶれにも注意しなければならない。

一眼レフではないコンパクトタイプのデジタルカメラで、この技法を使うのはほぼ不可能。というのは、この種のカメラの場合、ズーミングは電動で行われるものが多いが、露光間はズームレンズが停止してしまうためだ。要するに、露光間ズームは撮影する機材と撮影する人の技術、それに知識が揃わなければ不可能だということ。しかも、それだけ苦労して撮影しても、ズーミング効果によって強調できるのはレンズの特性上、画面の中央に固定されてしまう。

この事実を考えると、「Photo Zooming」がどれだけ便利なソフトか、おわかりいただけるだろう。第一に「Photo Zooming」は、カメラ機材や撮影技術に対する制約がほとんどない。コンパクトタイプのデジタルカメラだろうと、携帯電話で撮影した画像だろうと加工できるし、むしろ被写界深度の深いコンパクトデジカメの方が、ズーム効果のメリットを享受しやすい。しかもカメラ撮影と異なり、画面中心に限らず、任意の部分をズーミングの中心に設定できる。面倒な知識や撮影技術は不要だ。

「得られるのはズーミング効果のみ」と機能は特化しているが、その効果を考えれば、大きな意味のあるソフトだといえる。

撮った写真を、知人に見せたり、Webアルバムで公開したりするときに「見る人をどうやって楽しませようか？」と、ひと工夫する使い方がお勧めです。上手に使えば、アート表現ができるかもしれません。報道写真には不向きです（^^;。

おもしろそうな追加機能が思い浮かんだらバージョンアップするかもしれません。