ソフトを開発しようと思った動機、背景
いままで耳コピーをするために、いろいろな再生装置を試してきました。スロー再生は強力なアイテムですが、いくらゆっくり聴けるとはいえ、楽譜に書き込んでいる間、音楽は待ってくれません。また、もうわかっているところはサッサと聴き流したいのですが、今度は時間が経つのをじっと待たないといけないという不満がありました。「映像再生機器のように『PAUSE』ボタンを押すことで画像が静止し、画像を見ながらコマ送りができる便利な機能を音声再生装置に取り入れられないか」と考えたのが開発の動機です。原理は単純で、短い時間を切り出して繰り返し再生してやれば見かけ上、音が止まって聴こえるというものです。このボタンを「KEEP(キープ)」と名づけ、ボタンのマークは右からも左からも止まっているということで「>|<」 としました(友人からエレベータの閉まるボタンと同じだねと指摘されましたが……)。「KEEP」中の音は、とても音楽的とはいえませんが、耳コピする者にとっては、誠にありがたい音です。
「KEEP」ボタンでいったん音を鳴らしながら止めたあと、自分の意思で再生場所やコマ送り/コマ戻しを自由に制御でき、音が変化していく様子を納得いくまで聴くことができるようになったので、これで長年の不満が解消できて、作者自身も満足しております。
開発中に苦労したこと
「KEEP」ボタンでいろいろな音をテストしていると、条件によっては原音に対して音程が若干変化して聴こえるという、耳コピを目的とするソフトとしては致命的な欠陥があることがわかりました。これは「周期性を持った原音をその周期の倍数とは違う長さで切り出してループさせると、周期性がずれてしまうため」だとわかり、補正処理を加えることで解決しました。苦労しながらも、うまく対応できたので、この手法を特許出願しました。
ユーザにお勧めする使い方
操作に関しては、
●普通の音楽再生装置と同じなので、特に説明しなくても直感的に操作できると思います。
●ショートカットキーを活用されれば、ストレスなく作業ができると思います。
今後のバージョンアップ予定
●「KEEP」中の音質の向上については、まだまだ改善の必要があると思っています。
●波形表示は全WAVEデータを対象にしていますが、部分的な詳細表示もできるようにしたいと思っています。
●「『KEEP』しているときに、いま鳴っている音がどんな音から成り立っている(和音)かを知りたくなる」という要望に応えて、「Keep the Sound!(シェアウェア版)」を作りました。こちらもあわせて評価していただければうれしいです。
(GpViolin)